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食に携わる注目の人物をインタビュー

【番外編】シェフの必需品|恵比寿「GEM by moto(ジェム バイ モト)」千葉麻里絵 ~前編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。14回目の今回は、“日本酒は宝物”というコンセプト掲げている日本酒バー「GEM by moto」の店長を務める千葉麻里絵さんです。日本酒に対して貪欲に努力と勉強を怠らず、そして常に謙虚な千葉さん。必需品をうかがう前に、料理の世界に足を踏み入れたキッカケや、日本酒への想いなどについてお伺いしました。

恵比寿駅から歩くこと約10分。都会の喧騒から離れた、落ち着いた場所にたたずむのは日本酒バー「GEM by moto(ジェムバイモト)」。“日本酒は宝物”をコンセプトにしたこちらのお店は、日本酒を広めるために常に新しいことに挑戦し続けており、業界内外から注目を集めています。店内に足踏み入れると、アンティーク調に統一されたハイセンスな空間が広がっていました。

「日本酒というと新橋や池袋のイメージがありますが、ビストロやバルが多い恵比寿にあえてお店を出しました。ゼロをイチにすることが重要だなと思って。日本酒に対してマイナスイメージを持っている方も多いですが、それをプラスに変えることこそ楽しみがあるし、そうした経験をした方々って自然と人に伝えたくなると思うんです。

そう語るのはGEM by motoの店主を務める千葉麻里絵さん。他ジャンルの有名レストランとペアリングをしたり、講演活動を積極的に行っている理由を、“日本酒を広めること”だと語ります。今まで日本酒と全く関わりがなかった層の方々に日本酒を知ってもらうことが自分自身のモチベーションになっているそう。千葉さんがそこまで日本酒を好きになったのには理由がありました。

日本酒を好きになったキッカケ

高校卒業後、理系の大学に入学された千葉さんは、研究室に入ると同時に人生初のアルバイトを始めます。そのアルバイト先が、山形の地酒専門の料理屋だったとのこと。このことがキッカケで、日本酒と飲食に興味を持たれました。

「実家が兼業農家だったので、お米がすごく身近な存在ではありました。でもアルバイトを始めてから、日本酒が"米と水"からできていることに改めて気づいて。お米からできているのにフルーティーな果実の香りがしたり、様々な味わいを感じることに興味が湧いて来たんです。」

その後、心の内にある日本酒への想いを持ちながらも生命保険系のSEとして就職しました。

「両親からはきちんとした会社で3年間勤めて、それでも飲食の道に進みたいという想いがあるのなら飲食の世界に足を踏み入れるのを認めると言われていました。なので、就職してから3年経った2010年6月に退社して、新宿の飲食店のオープニングスタッフとして働きはじめました。」

それからというもの、日本酒の虜になるまでそれほど時間はかからなかったそう。

「色々な日本酒を飲んだのですが、最初は全然違いが分からなくて…じゃあ日本酒を造っている人に会いに行こうと思って蔵に足を運ぶようになりました。その時に印象的だったのが、栃木県にある“鳳凰美田”が有名な小林酒造さん。お酒造りに命をかけている蔵元さんの姿を見て、日本酒が大好きになりました。それからはサービスをする時には日本酒を"注ぐ”のではなく、日本酒を"伝える"ように、と使命感を持つようになりました。」

また蔵元の熱い想いと同時に、米と水、そして菌が関与してるという神秘的な部分にも惹かれたのだとか。それからは、作り手と同じ目線で話せるように「清酒官能評価者」という香りだけで日本酒を様々な角度から特長を評価する資格にも挑戦されました。この資格は普通蔵元が受講するものだそうで、千葉さんの努力には驚きです。
完全に日本酒の虜となった千葉さんは、自分のお店を持ったときに、あらゆる層のお客さんとのコミュニケーションが必要だと思い、百貨店の和酒売り場やゴールデン街でも働いていたのだそう。その後、新宿のお店の店長を経て、2015年7月に「GEM by moto」をオープンしました。

空気を変えるのは店主の役割

初対面の編集部の我々にも気さくに話してくださる千葉さんですが、幼い頃は人見知りだったのだとか。その経験から、初めてのお客さんでも入りやすい雰囲気を意識しているのだそう。

「私は岩手県の江刺出身ですが、父親が銀行員だったので、幼稚園から中学校にかけて引越しを繰り返す日々でした。何度も転校を繰り返す中で、学校や組織の中に入る孤独感はずっと感じていて。そういう体験をしたからこそ、自分が作るお店では孤独感を感じるお客さんを作りたくないと考えるようになりました。なので、店主が空気を変える役割を担って、初めて来店されたお客さんにもさりげなく話を振ったりして、孤独感を感じさせないようにするということは大事にしています。」

お客さんに楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいという千葉さんの優しい想いを凝縮したのが「GEM by moto」。そんな千葉さんが大切にしている必需品は、「スパイス」「本、ノート」「錫 ちろり」の3つ。次回、それぞれの品の裏にあるストーリーをご紹介致します。

GEM by motoジェムバイモト

GEM by moto

住所:
東京都渋谷区恵比寿1-30-9
TEL:
03-6455-6988
営業時間:
火〜金 17:00〜24:00 土日祝 13:00〜21:00
定休日:
月曜日

更新: 2017年12月26日

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