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シェフの必需品|六本木「Jean-Georges Tokyo」米澤 文雄 ~後編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。前回は六本木の『Jean-Georges Tokyo』の米澤文雄シェフが料理の道に進んだ理由や、料理の道の歩み方などをお伺いしました。そして、今回お聞きしたのは米澤シェフにとっての“必需品”について。早速ご紹介していきます。

ニューヨーク発祥の高級フレンチレストラン「Jean-Georges」の東京進出店「Jean-Georges Tokyo」。こちらのお店は、オープンカウンター席を設置し、コースの各料理と相性の良い日本酒を提案する“日本酒ペアリング”を採用する日本の料理文化が垣間見えるレストランになっています。2014年3月に六本木に開店したJean-Georges Tokyoを託されたのが、米澤文雄シェフ。様々な有名店で料理の基礎を学び、22歳で単身渡米を行い、「Jean-Georges」NY店で日本人初のスーシェフをも歴任してきた一流料理人。今回はそんな米澤さんの、無くてはならない必需品4つをご紹介いたします。

テイスティングスプーン

1つ目の必需品は、キッチンに常に常備してあるという「テイスティングスプーン」。こちらの、使い捨てのテイスティングスプーンは「Jean-Georges」NY店より受け継がれているモノでした。

「Jean-Georges NY店ではオープンキッチンを採用していて、味見したスプーンを水が入っているカップに入れた後に、同じスプーンでまた盛り付けするのは衛生的に良くなく、さらに、お客さまに不快感を与えてしまうという話になり、使い捨てのスプーンを常備するようになりました。それを東京店でも採用しています。」

こちらのテイスティングスプーンは、オープンカウンターから見えるキッチンや、シェフの胸ポケットにも常備されているそう。料理自体はもちろんのこと、サービス面までをも徹底的にお客さん主体に考え抜かれたJean-Georgesならではの必需品です。“人を笑顔にする料理”を、さまざまな角度からアプローチを行っているのが伝わってきます。

スパイス各種

2つ目にご紹介するのは、「スパイス各種」。刺激、辛味、酸味を使って味の幅を広げるジャンジョルジュに欠かせないスパイスたち。とくにこちらのハラペーニョは自家製で、24時間発酵させています。発酵させることでマイルドになり、料理にも使いやすくなるとのこと。また、これを使うと味が締まるので、和食でいう“七味”のような感覚と言います。

かめびし屋の醤油

3つ目にご紹介するのは、香川県東かがわ市引田で江戸時代から続く醸造元で造られる「かめびし屋の醤油」。こちらの「三年醸造醤油」は3年かけてじっくりと熟成しているからこそ生み出される、旨みのとろ味が絶妙かつ、マイルドな口当たりが絶妙な一品。こちらのお醤油と出会ったキッカケは、Jean-GeorgesN.Y本店で働いている時だったと米澤シェフは語ります。

「Jean-GeorgesN.Y本店に先代の社長が飛び込みで売りに来たのがキッカケでした。その当時は、新商品として醤油をフリーズドライさせたソイソルトを売りに来られていました。最初は、このボトル見たことある程度だったのですが、とても美味しくて手に入れたいと思いました。しかし、政府の関係で当時は輸入が難しく、後に、イベントや商品開発などの様々なご縁で使わせて頂くようになりました。」

かめびし屋では、日本で唯一、藁やイグサなどの草で編んだ敷物を使用したむしろ麹製法が採用されています。手間と時間のかかるむしろ麹製法でオリジナル麹を作り、なおかつ長年行っている蔵の菌が、完璧な諸味を作り出します。そのため、コクの深さと濃さが秀でています。かめびし醤油では、多くの商品の種類を取り揃えており、使い勝手の良い薄口醤油も手に入れることができます。

礼頂の包丁

最後にご紹介するのは、岐阜県の間市で造られる「礼頂の包丁」。この包丁はある包丁職人さんに遣えていて、去年独立して工場を構えた小林弘樹さんが作ったものです。和包丁かつ洋包丁のものを、1本づつ自分の手作りで仕上げまで行うというのが彼の夢だそう。その夢の実現に向けて、日々包丁作りに専念されています。こちらの包丁との出会いも、飛び込みの売り込みだったとのこと。

「ある時、『お願いがあるのですが…実は僕、包丁を作っているので、良かったら試してもらえませんか?』と言われたんです。試しに状態の良い魚をさばいたら、驚くくらい切れ味がよくて。様々なレストランの門を叩いているみたいなのですが、私のところに来たときに、ホームページすらもっていない状態でした。そのとき、ふと自分と同じ匂いを感じました。そのまま、年齢の話や料理を始めた時期などの話で盛り上がっていって、27cmの包丁を頂いたんです。」

小林さんの“切れ味でお客様に感動していただきたい”という想いや、飛び込みで挑む熱い姿勢が、米澤シェフの心を鷲づかみにしました。その後、小林さんが作る包丁に惚れた米澤シェフは24cmの牛刀を購入したり、パリにいる知り合いに紹介をしたりという関係になられたそうです。今や、こちらの包丁はパリのシェフの中では有名になっているのだとか。奇跡を感じさせるような出会いは、最高の料理を作り出す必然だったのではないかと思わせてくれます。

子どもたちにとって料理人が憧れの存在に

最後に米澤シェフは、Jean-Georges Tokyoを担うシェフとして展望を語ってくださりました。

「Jean-Georgesの味を東京で伝えるのが私の仕事です。また、部下を育てることも大切だと思っています。基礎的なことがどれだけ大切かは、上に立ってみないと分からないものなんです。料理のスキルは、時間をかければ誰でも身につきます。なので、シンプルなことをどれだけ真剣に取り組めるかが大事。お客様の立場に立って、より良いサービスを行っていくことが必要であり、それをどう上手く部下に伝えていくことを常に考えています。」

様々な修行、経験、努力を積み重ねて一流料理人になった米澤シェフですが、現在では食育関連、医療施設へのボランティア活動など社会貢献にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

「料理人になるという若者が減っていく現代、私は幸せを届けられる料理人という仕事が、やりがいのある仕事であるということを伝えていきたいですね。そして、料理人という職業に”夢”を感じて、目指してくれる人を増やしていきたいです。」

子供達に夢を与え、お客さんには幸せを与える。一流でありながらも、常に上を見続ける米澤シェフの今後の活躍から目が離せません!

Jean-Georges Tokyoジャンジョルジュトウキョウ

住所:
東京都港区六本木6-12-4
TEL:
050-5570-5950
営業時間:
ランチ11:00~15:00(LO14:00) ディナー17:00~24:00(LO Food21:30/Drink22:00) テラス席 11:00~22:00 
定休日:
なし
URL:
http://www.jean-georges-tokyo.jp/

更新: 2017年11月14日

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