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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|六本木「Jean-Georges Tokyo」米澤 文雄 ~前編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。11回目の今回は、六本木にあるフレンチレストラン「Jean-Georges Tokyo」の店主である米澤 文雄シェフです。NYミシュラン創刊以来三ッ星を獲得し続けるJean-Georgesより待望であった、東京進出を果たしたのがこちらのお店。必需品をうかがう前に、料理人を目指したきっかけや、米澤シェフの料理の道の歩み方などを伺いました。

六本木駅から徒歩約5分。白いレンガ作りの建物が気品さと高級感を漂わせるフレンチレストラン「Jean-Georges Tokyo」がありました。ミシュラン三ッ星を獲得し続ける、ニューヨーク発の高級フレンチレストラン「Jean-Georges」待望の東京進出店であるこちらのお店。店内は、フレンチ料理店では珍しいオープンカウンター席も採用した、日本ならではの構成で造られています。さらに、店内だけでなくコースの各料理と相性の良い日本酒を提案する”日本酒ペアリング”も東京店のみの試み。これらは、日本の料理文化に魅了されたジャン・ジョルジュ氏本人の願いからだそう。そんな有名店を託されたのが、様々なお店での修行や22歳での単身渡米を行った、実力と経験の伴う米澤文雄シェフでした。

「料理の世界へ入るのを最初に後押ししたのは『料理が好きなら、シェフになるのがいいかもね』という母親の言葉でした」。そう語る米澤シェフは丁寧な料理を作る家庭で育ち、そのお手伝いで料理に触れたのが始まりでした。その後、お手伝いの範疇を超えて食卓の品数を増やしたり、友人に手料理を振舞うなど、どんどん料理の世界へ足を踏み入れていきました。

何をしてもなかなか続かない性格だった幼少期時代の中で、料理への興味だけは変わらなかったそう。中学卒業後、すぐに働きたい気持ちを抑えて高校に通うものの、居酒屋やビアガーデン、屋形船などの飲食店でアルバイトに明け暮れる日々を送られていました。

がむしゃらに学んで行く中で出会った、渡米のキッカケ

高校卒業後、恵比寿の「イル・ボッカローネ」で料理人として働くだけでなく、サービスもされており、社会人としての言葉遣いや基礎的な礼儀、サービス、英語やイタリア語などの勉強をがむしゃらに行っていたそう。そんな多忙な毎日を送る中で、米澤シェフが単身でニューヨークへ渡米するきっかけがふと訪れました。

「ある時アメリカ人の団体のお客様の接客担当をしていたら、自分の一生懸命なサービスに対して、お客様全員が最後握手して下さったんです。それがとても嬉しくて、『こんな素敵な人たちが住んでいる街って面白いんだろうな、一緒に料理を作ってみたい!』と思いました。」

そう思い立ったら吉日、やっとのことで貯めた40万円ほどを持って単身でニューヨークに渡ったといいます。この選択が、米澤シェフの料理人としての道の歩み方や、ジャンジョルジュへの道しるべになっていたことは、当時誰にも予想がつかなかったことでしょう。

”基本のこと”の積み重ねが大きな成果に

住む家やコネもなくニューヨークに渡った米澤シェフ。まずは、英語を本格的に学ぼうと語学学校に通ったものの肌に合わず、その後ルームメイトから日本人シェフを探しているというお店を紹介してもらい、働き始めたそうです。そこで働く傍ら、休みの日には様々なレストランで修行を行ったりと、精力的にニューヨークの料理を学んでいきました。そこで出会ったのが“Jean-Georges”でした。

「活きたのは、イル・ボッカローネで学んだ“基本のこと”でした。」

まず米澤さんが任された仕事のひとつは、アスパラの下ごしらえ。イル・ボッカローネで基礎的な部分を徹底的に学んできた米澤シェフは、誰よりも早く、そして美しく仕事をこなしていきました。そうした小さな成果をコツコツ積み上げて行ったことで、次のステップの仕事を掴んでいかれたそうです。

Jean-Georgesでの仕事が板につくようになって来た頃、米澤シェフが目指した目標は「日本人初のスーシェフになること」でした。高い目標を成し遂げるのはそう簡単なことではありません。自分の仕事を誰よりもはやく終わらせて他のポジションの仕事を積極的に手伝ったりと、努力に努力を重ねていきました。それから約1年、スタッフが60名ほどいる中、当時唯一の日本人であった米澤シェフがスーシェフに選ばれ、ようやく目標を達成することができたのだそう。

その後、2007年に日本に戻り、ニューヨークから帰国して6年が経過した2013年に、転機が訪れます。それは「Jean-Georges」が日本進出を行い、そのお店のシェフ・ド・キュイジーヌをジャン・ジョルジュ氏本人から任されたことでした。東京店を任されてからは、様々な経験を通して見せ方やサービスにまでこだわっていると語ります。またシェフとして部下に基礎の大切さ、技術ではなく心で感じることの大切さも伝えていらっしゃいます。

このような様々な転機と、本質的な料理との向かい合い方、強い探究心が今の米澤シェフと「Jean-Georges tokyo」を作り上げているのだと感じることができました。そんな米澤シェフが大切にしている必需品は、「かめびし醤油」「包丁」「スパイス」「スプーン」の4つ。次回は、それぞれの品の裏にあるストーリーをご紹介いたします。

Jean-Georges Tokyoジャンジョルジュトウキョウ

住所:
東京都港区六本木6-12-4
TEL:
050-5570-5950
営業時間:
ランチ11:00~15:00(LO14:00) ディナー17:00~24:00(LO Food21:30/Drink22:00) テラス席 11:00~22:00 
定休日:
なし
URL:
http://www.jean-georges-tokyo.jp/

更新: 2017年11月8日

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