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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|千駄木「和菓子 薫風」つくだ さちこ ~前編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。10回目の今回は、千駄木にある和菓子屋「和菓子 薫風」の店主であるつくだ さちこさんです。今までの常識を覆すような組み合わせである、和菓子と日本酒のマリアージュが楽しめるこちらのお店。必需品をうかがう前に、どうして和菓子を選んだのか、また料理の食材へのこだわりなどを伺いしました。

千駄木駅から歩くこと約2分。よく見ていないと通り過ぎてしまうくらいにひっそりと路地裏にお店を構えるのは「和菓子 薫風」。店内には、大きなテーブルが一つだけ用意され、そのテーブルを囲むように椅子が並べられています。こちらのお店は、国産にこだわって手作りされた和菓子と、店主自ら買い付けてくることもあるという種類豊富な日本酒のマリアージュを楽しめる、知る人ぞ知る名店です。

「短い人生で、どれだけのことを自分が挑戦できるのかというのを試してみたい」。そう語る店主のつくださんは、飲食の世界へ足を踏み入れる前、製薬会社の分析に携わる仕事をされていました。とてもやりがいのある仕事で、定年まで居たいと思うくらい楽しい会社だったとのことですが、飲食の世界へ足を踏み入れたきっかけは、つくださんの強い挑戦心でした。

“自分自身を試してみたい”と考えたつくださんは、会社に勤めながら夜学で料理師の資格を取り、卒業と同時に退職し、以前から興味のあった飲食の世界へ転身しました。

その後、フレンチやイタリアン、割烹料理など様々なジャンルの料理を学んだそう。そこで、つくださんが和菓子を学ぶきっかけになった所以を伺うことができました。

「元々、将来アメリカで自分のお店を持ちたいと考えていたのですが、料理全般だと若くから学んでいる料理人には敵わない。そこで何か違うもので勝負できるものはないかと考えた結果、たどりついたのが”和菓子”でした。」

勤めていた割烹料理屋から影響を受け、季節感を表現することができたり、旬の食材を扱う和菓子は、ぴったりとつくださんにハマったと言います。さらに、小さな頃から絵を描いたり、造形するのが好きだったことも功を奏して、再び夜学で和菓子を基礎から学ばれました。

和菓子の出来立ての面白さを感じて欲しい

和菓子を学び始めた当初、割烹料理で皿盛りのデザートが和菓子であることが少なかったため、それを実現したいと考えていたつくださん。しかしながら、和菓子を学べば学ぶほど、和菓子の魅力に引き込まれていったそう。出来立ての食感や、出来るまでの過程をもっとお客さんに届けたいと考えるようになりました。

「和菓子は、お持ち帰りが前提になっているから出来立ての面白さを感じることができないのです。それは出来立てを食べる場所がないから。それなら、店内で出来立ての面白さ・美味しさを表現したいと思いました。」

料理学校卒業後は、飲食企業のコンサルタントを勤めました。和菓子を学び、商品開発を行ってきたつくださんだからこそできるこの仕事の依頼は、どんどん増えていったそう。その依頼の一環として作ったのが「レモンどら焼」でした。このレモンどら焼の人気が、和菓子屋への後押しになったのです。

オープンする前からコンセプトは”日本酒×和菓子”

レモンどら焼が爆発的な人気を誇り、コンサルタントの仕事を続けるか、和菓子屋を営むかの選択を迫られ、和菓子屋を選んだつくださん。コンセプトである和菓子と日本酒はお店をオープンするまえから考えていたことだったそう。

「当時、果物を切っただけのデザートなどが主流だった中、勤めていた割烹料理屋はきちんとした和菓子を作って食後にお出しするお店だったのです。そこのお店で、グレードの高い日本酒と和菓子がとても合うことに気がつきました。また、お酒で四季を表すことが出来るというのも日本酒を選んだ理由の一つでもありますね。」

こうしたつくださんの強い想いや、和菓子を愛する人たちの後押しでオープンしたのが「和菓子 薫風」。ありそうでなかった食材の組み合わせや、和菓子と日本酒の組み合わせを提案しつづけるこちらのお店は、日本の伝統を守っていく盾にも見えました。

そんなつくださんが大切にしている必需品は、「大納言小豆、白手忙隠元豆」「レモン」「濃し袋」の3つ。それぞれの品の裏にあるストーリーをご紹介いたします。

和菓子屋 薫風ワガシヤ クンプウ

住所:
東京都文京区千駄木2-24-5
TEL:
03-3824-3131
営業時間:
[水~金] 13:30~20:00 [土・日] 13:30~19:00
定休日:
月曜、火曜、土日不定休
URL:
http://wagashikunpu.com/

更新: 2017年10月18日

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