PEOPLE

食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|国領「Don Bravo(ドン ブラボー)」 平雅一 ~後編~

東京のグルメシーンを牽引するシェフが、料理を作る上で欠かせない道具や食材を紹介する新連載「シェフの必需品」。前回は調布市は国領にありながら、都心部の人気店とも肩を並べる実力派イタリアン「Don Bravo(ドン ブラボー)」 平雅一シェフに、その独創的な1皿の背景にある哲学をうかがいました。そして今回は平さんの必需品をご紹介します!

日本人にしか作れないイタリア料理を追求し続ける「Don Bravo(ドン ブラボー)」 のシェフ平雅一さん。イタリアの伝統的な郷土料理に、自らが子どものころから歩んできた食体験を照らし合わせ、新しい側面を探すスタイルに行き着きついたのは最近のことだと言います。「この数ヶ月揺らいでいたものが、ちゃんと自分の言葉にできて、固まってきました。でも、多分また変わるんですけどね」。平さんの場合、変わるきっかけの多くは、人との出会い。食材を作る生産者、それを橋渡しする人、同業の料理人、営業の合間を縫って多くの人と対話し、柔軟に学び取る。料理に使う食材を選ぶ際も同じで、やはり人が基準。「良いものであることは大前提ですが、作る人の愛情に触れると、使いたくなるし、応援したくなります」。今回ご紹介する品々を語る時も、人との出会いのエピソードを交えながら、自らが伝道師のように淀みなく解説していただきました。

オニバスコーヒーのコーヒーとアメリカンプレス

「ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)」は、奥沢に本店を持ち、2016年1月21日には中目黒に2号店、さらに道玄坂の「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS(アバウトライフコーヒーブリュワーズ)」や、外苑前の「RATIO & CYCLE(レシオ・アンド・サイクル)」のプロデュースも手がけるコーヒーショップ。オーナーの坂尾篤史さんは、メルボルンでコーヒーに目覚め、「Paul Bassett(ポール・バセット)」に務めた後に20代で独立。東京のコーヒーシーンを牽引する人物です。「もともと浅煎りのコーヒーは苦手だったんですが、アメリカンプレスで淹れると、すーっと体に入っていくような飲み心地になる。坂尾さんのワークショップに参加して教えてもらいました」。強い圧力をかけて抽出するアメリカンプレスは、豆の香りや味わいを逃さず、豆の味をダイレクトに伝えられるのです。「酸味の角がとれた、お茶のような飲み口になる。コースを組み立てるときに、味と香りの抑揚を意識して流れを考えるのですが、この飲み方ならコースの流れに沿って味わってもらえるんです。それに、坂尾さんは売上の内のいくらかをコーヒーの生産国に寄付しているんです。自分ではそんなこと考えつかないし、行動もできないけど、『ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)』のコーヒーをお店で提供することで、その活動に協力することができるのもいいですね」

ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)
東京都世田谷区奥沢5-1-4
03-6321-3283
9:00~19:00
火曜定休  
http://www.onibuscoffee.com/

鳥海 海の泉の塩

この塩を平さんに紹介してくれたのは、外苑前にあるおむすび屋さん「おむすび まるさんかく」のオーナー大倉千枝子さん。山形県は庄内浜の北端、鳥海山の水脈を通じた伏流水が湧く場所の海水を汲み上げて、釜で炊き上げて作ったもの。伏流水と海水が混じり合い、独特の味わいを生み出します。「後継者不足で途絶えかけていたところを、“こんな素晴らしい塩をなくすわけにはいかない”と、大倉さんが自ら作り手を見つけ、引き継いだという塩です。メインの肉料理に添えて、塩の存在感も感じてもらえるようにしています」。

おむすび  まるさんかく
東京都渋谷区神宮前3-1-25
03-3402-5730
9:30~15:00、土12:00〜18:00
月曜・日曜・祝日定休

http://omusubi-garden.com/

安部農園の全粒粉

茨城県は牛久で営む安倍農園。平さんは実際に農園を訪れ、一緒に農作業もしたこともあるそう。「これがないとうちのピッツァは作れないんです。毎回、嘘なしの“挽きたて”を送ってくれる。他の粉も試したのですが、やはり香りの立ち方が違う」。石挽で丁寧に挽かれた麦の香りは格別。この全粒粉に、長野県の清水牧場のヨーグルトとイタリア産のビールからとった天然酵母を合わせ、長時間発酵させて、石窯で焼く。こうして「Don Bravo(ドン ブラボー)」のピッツァが完成するのです。

安倍農園
http://www.farm-abe.com/

Thé D'orのお茶

「このお茶は最近出合って、これから使おうと思っているんです。お茶の本質と危機的な現状を伝え、これからの日本茶文化を守っていきたいという作り手の姿勢に共感して」。「Thé D'or(テドール)」は無農薬栽培、日本で生産された厳選茶葉を使用し、茶師である渡邉拓哉さんが、台湾で学んだ発酵の技術を駆使して生まれた発酵茶。年々生産者が高齢化し衰退しつつある日本のお茶文化に、新たな可能性を示唆するボトルドティー。チョコレートのような香り、海藻のようなミネラル感、ドライフルーツのような甘み。発酵、焙煎、抽出を経てボトリングされたお茶は、様々な味わいを表現し、料理に合せてお茶を選ぶ習慣を提案しています。

The Tea Company
http://www.the-teacompany.jp/

ひとつひとつのアイテムが今現在の「Don Bravo(ドン ブラボー)」を形作るにあたって、欠かせない要素であり、今の平さんの“考え方”を象徴したもの。日本人にしか作れないイタリア料理を提供する、それを土台に、より「Don Bravo(ドン ブラボー)」での食体験が豊かなものにしたい。食後のコーヒーは世界へと繋がり、お茶をいただけば日本茶のこれからが見える。挽き立ての麦の香りを感じるピッツァに麦にも鮮度があることを教えてもらい、お皿に添えられた塩を口に含めば身近な調味料ながら塩の多様さに驚く。平さんが食材と出合った時の「美味しい!」、「すごい!」、「かっこいい!」といった様々な感覚を追体験するかのように、「Don Bravo(ドン ブラボー)」のひと皿ひと皿に発見が隠れている。料理を通じて起きる、シェフやスタッフとの感動を共有が、また「Don Bravo(ドン ブラボー)」に訪れたくなる理由のひとつなのかもしれません。

次回は白金のフレンチ「TIRPSE (ティルプス)」田村浩二シェフが登場

2013年に、世界最速でミシュランの星を取ってから、話題に事欠かないレストラン「TIRPSE (ティルプス)」。今年シェフに就任したばかりの田村浩二シェフにご登場いただきます。とにかくストイックに料理と対峙する田村シェフの哲学、そして必需品とは?

>足跡レストランの「Don Bravo」の記事はこちら
http://foodport.jp/feature/28336.html


>前半:平シェフの料理に対する想いを聞いたインタビューはこちら
http://foodport.jp/people/28208.html

Don Bravoドン ブラボー

Don Bravo

住所:
東京都調布市国領町3-6-43
TEL:
042-482-7378
営業時間:
11:30~14:00LO、18:00~22:00LO
定休日:
水曜日
URL:
http://www.donbravo.net/

更新: 2017年5月9日

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop