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食に携わる注目の人物をインタビュー

シェフの必需品|代々木上原「Gris(グリ)」 鳥羽周作 ~前編~

今回から始まるFOOD PORT.の新連載「シェフの必需品」。東京のグルメシーンを牽引するシェフの料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナーです。記念すべき第1回は代々木上原にあるモダンフレンチで、東京で最も勢いのあるレストラン「Gris(グリ)」を率いる鳥羽周作シェフにお話しを聞きました。まず、必需品の紹介の前に鳥羽さんの人となりを探ってみましょう。

代々木上原「Gris」

「MAISON CINQUANTECINQ(メゾン サンカントサンク)」、「LANTERNE(ランタン)」、「9 STORIES(ナインストーリーズ)」、そして2017年3月4日にオープンしたギャラリー+レストラン「AELU(アエル)」など代々木上原に6店舗を運営する丸山智博氏率いるシェルシュ。その中でも特に異彩を放っているのが「Gris(グリ)」です。メニューは3皿の季節のアミューズ、冷前菜、温前菜、魚料理、肉料理、プレデザート、デザートと9皿構成の7,000円コース1本(ランチは6皿4,500円のコースもあり)。1皿1皿に込められた情熱とストーリーに加えて、ソムリエ外山博之氏のペアリングの妙と組み合わさり、東京でも唯一無二のレストラン体験ができる場所として話題を呼んでいます。ひたすら陽気で、しゃべり出したら止まらないシェフの鳥羽さんでしたが、シンプルに「美味しい」を追求するだけでなく、その先に生産者と食べ手をつなぐことを料理人の使命とし、世界を目指して走り続ける熱い想いが宿っていました。

1978年生まれの現在39歳、2016年3月に代々木上原「Gris(グリ)」のシェフに就任した鳥羽周作さんの経歴はちょっと面白い。サッカー選手としてJFLの練習生になり、プロを目指すもその道はあきらめ、小学校の先生に。本格的な料理人としての経験は32歳になってから。神楽坂のイタリアン「DIRITTO(ディリット)」で3年修業。そして今や日本を代表するレストランになった川手寛康氏率いる「Florilege(フロリレージュ)」で2年の経験を経た後に、現職である「Gris(グリ)」のシェフに。

9皿全てに全身全霊をかける。毎日、後悔はありません。

シェフになっておよそ1年が経った鳥羽さん。当初とはかなり料理に対する考え方と、その思想を反映する1皿1皿のプレゼンテーションが変わったと言います。

「いまGrisのスペシャリテとして“もの凄い鯖”を使わせてもらってるんです。“もの凄い鯖”は茨城県にある創業69年の干物屋さんが、長年継ぎ足した熟成つけ汁を使って完全無添加で作られている干物なのですが、これがめちゃくちゃうまい。前菜としてビーツとザクロを合わせて提供していて、この鯖を紹介してくれたのが堀田幸作さん。彼に会って、食材のポテンシャルと生産者の想いをしっかり1皿に表現するスタイルに変わりましたね。最初はおしゃれに盛り付けることもしていましたが、今は至ってシンプルになりました」

“必需品”というテーマを聞いて「今の僕に欠かせない人」と紹介してくれた堀田幸作さん

堀田幸作さんは食材がおまけに付いた雑誌『イサリビ -未来も魚を食べるぞ通信』を作った人物で、その他にも個性的な生産者を料理人を繋げる仕組みを作っている人物。「LA BONNE TABLE(ラ・ボンヌターブル)http://foodport.jp/people/15237.html」の中村和成シェフなど、東京の若手のシェフたちの多くが堀田さんの紹介する食材に舌を巻き、自らの料理に取り入れているとか。

「堀田さんを通じて出会う志ある生産者が創る食材。それをもっと多くの人に食べてもらいたいし知ってもらいたい。『Gris』がそのきっかけになればいいし、その食材のおかげで『Gris』の料理が評判になって人気が出れば、越田さんも、堀田さんも潤う、健全なサイクルを生み出したいんです」

誰かの真似事では世界は目指せない。

だから鳥羽さんが作る皿の上にはストーリーが載っていて、その向こう側には生産者が見えてくる。しかし、1皿1皿を本気で作ることで目指している“場所”は日本に止まらない。

「そのサイクルをもっと回して、みんなが幸せでになれるように、僕は世界を目指しているんです。今『Gris』では9皿のコースで提供しているんですが、それぞれが自分を含めスタッフ全員が何度も食べて、本当に美味しいか確かめて、最高の温度、最高のタイミングでお客様にどうしたら食べてもらえるか毎日本気でディスカッションしているんです。うちの皿はよく“テンションが高いね”って言われるんですが、9皿でお客様とデートする感覚で作っているんですね。キレイな皿もあれば、強い皿もあって、エロい皿もある。次の日の朝まで料理の余韻が残るくらい、全力で料理を作ってるんです」

「2016年6月に北欧に行って、トップクラスのレストランに何軒か食べに行きました。料理はもちろん、自然体のサービスに刺激を受けたのですが、そこを真似しても超えることはできない。なら『Gris』になにができるかって考えるようになってから、迷いがなくなりましたね」

代々木上原から世界へ。自分が世界に届けば生産者だけでなく、二番手であり相棒の新圖宏之さんやソムリエの外山さんはじめスタッフ全員が自ずと世界に認められ、注目を浴びるようになる。“チームGris”とその周りのパートナーも、なんなら仲の良いシェフ仲間も全員にとって良い環境を作っていく気持ちで、日々厨房に立つ鳥羽さん。彼の必需品は上の写真にある「セドリック・カサノヴァ」のオリーブオイル、ドライトマト、「銚子山十」のひしお、「越田商店」のもの凄い鯖、それぞれのストーリーは次回にご紹介します!

必需品を紹介する第2回の記事はこちら

http://foodport.jp/people/27849.html

Grisグリ

Gris

住所:
東京都渋谷区上原1-35-3
TEL:
03-6804-7607
営業時間:
12:00〜13:30LO(土・日・祝日のみ)、18:00〜21:00LO
定休日:
水曜、月2日火曜日定休
URL:
http://gris-yoyogiuehara.com/

Photo 鈴木彩

更新: 2017年4月18日

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