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SPECIALインタビュー|シェフの力で海を守る 「Chefs for the Blue」 石井真介リードシェフ

日本の水産資源の減少を憂い、漁師や漁業関係者たちと向き合いながら改善のための活動を行うシェフ集団『Chefs for the Blue』。その活動の一環を幅広く知ってもらおうと参加した、サステナブルシーフードの国際コンペ、アメリカSeaWeb主催のCo-Labコンペティションでは、並み居る強敵を押しのけて見事優勝を果たしました。リードシェフとして活動を牽引する『シンシア』の石井真介さんに、その様子を伺いました。

コンペにはサステナブル・シーフードに取り組むチームが世界中から参加!

左から米澤文雄シェフ、田村浩二シェフ、石井真介シェフ

世界中から応募したサステナブルシーフードに取り組む40チーム以上の中から、『Chefs for the blue』が、ペルー、インドネシア、韓国と共に、ファイナリストに選出されたという知らせを受けたのは今年1月のこと。「ベスト4に選ばれて、最後は国民的英雄として絶大な影響力を持つガストン・アクリオシェフがサポートするペルーチームと一騎打ちに。諦めかけていたのですが、私たちの活動を少しでも多くの人に知ってもらう意味でも、様々な人たちに声をかけ、拡散に協力してもらいました」と石井シェフは話します。その結果、53の国5500以上の投票数のうち、最も多くの票を獲得し日本が優勝。そして、6月。サステナブルシーフードの世界最大のカンファレンス「シーフードサミット」に参加するためにバルセロナに。

バルセロナで世界のトップ シェフや漁業関係者と意見交換

「サミットは、とても刺激的でした。世界的に水産資源は減りつつあるので、皆が共通の危機感を持っていて。世界から400人あまりの水産関係者が集まり、シーフードのサステナブルな取り組みを話し合い、情報交換しました」。その中で、日本は四方を美しい海に囲まれた類稀な環境、と世界から高く評価されている現実を知ったと言います。「だからこそ、この危機的現状を何とかしないといけない。そう決意を新たにしました」。

「世界では、トップシェフたちが食で発信し、社会に影響力を及ぼす事例が多々あります。日本でも、ここ10年で環境などの社会問題に対する料理人の意識はものすごく変わったと思います。20年前は魚といったら築地。でも今は、漁師さんから直接買い付ける料理人も多い。釣りやはえ縄など環境に負荷を与えにくい漁法で獲り、丁寧に処理をした魚を扱い、私たちはそのことをお客さんにきちっと伝えるようにしています。地道な活動ですが、そうやって、一般消費者にも少しづつ拡散して、影響を与えていかないといけません」

水産資源枯渇の一番大きな原因は乱獲で、それは国による有効な漁獲規制がほとんどないために起こります。日本の漁獲規制の現状は、利益優先の利害関係や各方面からの反対などで調整することが難しく、なし崩しになり先に進まないのが事実です。政府に働きかけ漁獲規制を実現するためには、一般消費者が声をあげて、ボトムアップしていくことが最も有効だと石井さんは語ります。「欧米諸国ではMSCなど海のエコラベル認証制度が普及している国が多く、消費者がサステナブルな魚介類を選ぶことができます。日本でもイオンさんが少しやっていますが、一般消費者が徹底してそれを選ぶようになると、『規制をしないと、まずいよね』という危機感が生まれるのではないでしょうか。世論の代表として声をあげて、政府が動かざる得なくなる。私たちの活動が、そんな動きにつながれば良いですね。そのためには、それぞれのシェフが持つ発信力を最大限に利用して、サステナブルシーフードへの正しい理解などを、拡散していくことが重要です」。

優勝賞金1万ドルのうち、まずは取り組みを発信するためのWEBサイトを作成中とか。また、SeaWebという世界最大のサステナブルシーフード振興団体のサポートを得て、これからの1年間をどのように活動していくか。関係者と共に真摯に考え、しっかりと行動していく予定なのだとか。「Chefs for the Blue」の今後の活動に、期待したいところです。

ナイキミキ/Miki Naiki

WRITER ナイキミキ/Miki Naiki

旅するサイト「Short Trip」編集人。伝統産業、一次産業(漁業)などをテーマに、全国各地を旅して、機内誌などに寄稿する。jangle-japan.com

Chefs for the Blue

東京のトップシェフ30人が集まり、日本の水産資源の減少を食い止めようと2017年より活動を開始。リードシェフを「シンシア」石井真介氏が務め、「カンテサンス」岸田周三氏や「ラぺ」松本一平氏など、名立たる東京のシェフたちが、日本の未来、日本の魚について考えている。

URL:
https://www.facebook.com/ChefsfortheBlue/

更新: 2018年7月30日

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