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SPECIALイベントレポート|食でつながろう岩手プロジェクト 「三陸ガストロノミーサロン2018 田野畑」

青森から岩手、そして宮城の三県にまたがる太平洋沿岸の三陸の海が、北東大西洋海域、北西大西洋海域と並ぶ、世界三大漁場といわれているのを知っていますか? リアス式海岸という地形的な特徴に加えて、北からの親潮と南からの黒潮が沖合でぶつかり合うことで、ホタテやウニ、アワビなどの魚介類、ワカメや昆布などの海藻類が豊富に育つ理想的な環境となっているのです。

この“自然の恵み”が育まれるメカニズムを、“なんとなく”ではなく科学的に把握し、ガストロノミーを通じた地域活性化に繋げたい……そんな想いを抱いた地元の料理人有志が集まり、初となる「食でつながろう岩手プロジェクト 三陸ガストロノミーサロン2018 田野畑」を、6月10日、11日の2日間、岩手県田野畑村で開催。「ロレオール田野畑」の伊藤勝康シェフを筆頭に、盛岡市、石巻市、奥州市からのシェフ、東京から元「リベルタ ア ターブル ド タケダ」の武田健志シェフ、パリから「ボタニック レストラン」の山口杉郎シェフも参加しました。

「ロレオール田野畑」伊藤シェフ

初日のフォーラムでは、岩手大学農学部の後藤友明教授が「世界に誇る漁場としての三陸の魅力」、元岩手県主席水産業改良普及員の石川豊氏が「三陸の海藻」と題する講演を開催。地元の生産者や住民などの参加者にシェフたちも加わり、三陸の海の豊かさの訳や田野畑村で採れるワカメの特徴について学びました。

伊藤シェフの「田野畑の山、里、海〜アイナメ」

続いて「ロレオール田野畑」で“海藻”をテーマとするコラボレーションディナーを開催。フォーラムでその魅力を再発見したばかりの海藻が参加シェフによって様々な料理となり、ゲストに振る舞われました。日常的に食卓にのぼる脇役の海藻がこれほどまでに存在感を放つコースは、未だかつてなかったのではないでしょうか。

山口シェフの「テロワール 北上山地と三陸」、柿木畜産の短角牛の肉の塊を田野畑のワカメで巻いてグリル

翌日は会場を「山地酪農 志ろがねの牧」に移し、牧場でのバーベキュー。シェフたちが手際よくグリルした「柿木畜産」の短角牛や地元の野菜に、「山地酪農」のチーズ、「涼海の丘ワイナリー」のワインと、岩手の食の魅力がぎっしりと詰まった贅沢なランチで、2日間のイベントは幕を閉じました。

遥々パリから参加した山口シェフ。初めて訪れた岩手県のシェフや生産者と交流を深め、たくさんの気づきを得たといいます。

「一番驚いたのは魚介類の種類の豊富さ。レストランでは見ないものが多く、今後の可能性を強く感じました。人間が食べる海藻のほかに、魚介類が食べる海藻があるという視点においても、実におもしろかった。ウニの身の状態と食べている海藻がしっかりとリンクしていて、誰がどこで獲ったかで味がまったく違うということも勉強になりました」

現地に足を運んだからこその発見は、強く山口シェフの記憶に残ったようです。田野畑村の今後の可能性については、「フランスでは高級レストランのある地方の街には、2〜3日間は滞在できるよう違ったタイプのレストランや宿泊施設があります。田野畑村は東京からは遠いのですが、“遠いだけの移動の価値”をいかに高められるか。東京から盛岡まで新幹線で3時間弱、そこからさらに車で3時間かけての地域に集客を望むためには、どこか一点ではなく総合的にクオリティを上げることが必要。すでに良い食材、景色、伊藤シェフが存在しているので、日本料理の店があってもいいかもしれません。加えて、獲れたてのウニを開けて食べる屋台などがあれば最高ですね。水揚げしたところで食べるというのは人の記憶に一生残りますし、僕自身10個くらい食べたいなぁと思って見ていました」。

「ボタニック レストラン」山口シェフ

「伊藤シェフのレストランに食事に来る、近くに泊まる、朝食は地のもの、ランチも地元で食べてお土産を買って帰る。これができればお客さんは2日間田野畑にどっぷりと浸かれますし、村の収入も増えるのではないでしょうか」

初の開催で得られたこうした様々なアイデアは、岩手のシェフや生産者の次なる活動に必ずや活かされることでしょう。パワーアップした来年の「三陸ガストロノミーサロン 田野畑」が今から楽しみです。

参加シェフ(敬称略)

山口杉朗「ボタニック レストラン」(パリ)
武田健志「元リベルタ ア ターブル ド タケダ」(東京)
伊藤勝康「ロレオール田野畑」(田野畑村)
福士雅巳「ウサギ ボタニカ」(盛岡市) 
鹿澤靖幸「リストランテ シカザワ」(盛岡市)
中村昌「ヌフ デュ パプ」(盛岡市)
和賀靖公「日本料理 新茶家」(奥州市) 
駒場利行「ろかーれ あーしゃ」(盛岡市)
山根亮 「トラットリア ダコッタ」(盛岡市)
今村正輝「四季菜食 いまむら」(石巻市)
渡邊篤史「イゾラ」(石巻市)
ルシア・フレイタス「A TAFONA」(スペイン・ガリシア)

生産者(順不同)

「山地酪農 志ろがねの牧」(田野畑村)
「涼海の丘ワイナリー」(野田村)
「スリーピークス シードル」(大船渡市)
「スリーピークス シードル」(大船渡市)
「神田葡萄園ケルナー」(陸前高田市)
「八重桜」(岩泉市)
「赤武酒造」(盛岡市)
「カメシメ水産」(普代村)
「柿木畜産」(久慈市)
「イブキ アントール ナチュラル クラフト」(石巻市)

主催:いわて食でつながろうプロジェクト/岩手県
協力:ホテル羅賀荘

「ロレオール田野畑」外観

更新: 2018年7月2日

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