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SPECIALイベントレポート|”うま味”の奥深い世界を知る「UMAMI BANK」

料理に欠かせない”うま味”。日本の研究者により明らかになったその存在は、今では世界中で「UMAMI」として注目を集めています。そんなうま味についてのイベント「UMAMI BANK」が、5月9日、『KEISUKE MATSUSHIMA』にて開催されました。全5回にわたり、うま味や味覚、そして食の大切さをレクチャーしてくれるこちらのイベント。テーマは「味覚の生理学」です。
フランスで外国人として最年少でミシュランの星を獲得し、現在はニースと東京の『KEISUKE MATSUSHIMA』のオーナーシェフである松島啓介さんと、予防医学研究者・医科学博士の石川善樹さんが登壇予定でしたが、残念ながら石川さんが体調不良によりお休み。松嶋さんのお話を伺ってきました。
昆布と鰹の出汁に、醤油で香りづけさたスープを口にし、ホッと一息ついたところでイベントがスタート。

味覚が備わっているのは、生きていくため

まずは、人間が舌の上で感じられる「甘味、塩味、苦味、酸味」の4つの味覚についてです。

それぞれの味覚を感じるのには理由がありました。甘味はエネルギー豊富な糖を、塩味は生きていくうえで欠かせないミネラルを、苦味は毒があるものを、酸味は食べ物が腐っていないかを、それぞれ認識するために備わっている味覚だそうです。

普段食事をしていると、つい美味しさを感じることばかりに意識がいきがちですが、味覚とは本来、生きていく上で必要な成分を感じるための能力なのですね。

時間をかけて育まれている食材に含まれる"うま味"

「『甘味、塩味、苦味、酸味』の4つの味覚に加え、私達が感じるのが"うま味"です。うま味は、20世紀の初頭に科学者の池田菊苗氏が昆布出汁の主成分であるグルタミン酸を発見し、『うま味』と名づけたことに始まりました。グルタミン酸の他に、鰹節やお肉に含まれるイノシン酸、干ししいたけに含まれるグアニル酸、貝類に含まれるコハク酸、などがあります。興味深いのは、これらのうま味を含む食材の共通点は、干したり燻製にしたり発酵させたりと、時間をかけて育まれている食材に多く含まれていることです。そして、地域ごとの気候・風土の中でつくられた保存食であるというのも大きな特徴」、と松嶋さん。

さらに、独自の視点でうま味についてこう話してくれました。

「例えば、鹿児島の風土と環境がなければ鰹節なんてできなかったはず。気候風土の中で自分たちがそういった、うま味成分の入った保存食を作らないと生きていけなかったんですよね。世界中を見ても、例えば、チーズやハムなど保存食の中に、非常に多くのうま味成分が含まれています。人間って、おもしろいことに、その保存食を中心に自分たちのコミュニティを形成しているんですよね。食卓・家族っていうものを最少の単位として、地域のうま味――醤油など昔は地域ごとにあったし――、国としてのうま味がある。だから、うま味成分を理解することが、人間関係の絆をつくっていくために大切なセンスなんじゃないか、というのが僕が考えです」

私たちは、うま味を味わうと、ホッとします。それは、松嶋さんのいう、長く育まれてきたコミュニティの中で形成されてきた味であることも、理由の1つなのかもしれません。

うま味を上手に使うことが健康にもつながる

料理の決め手であるということも、うま味成分の大きな特徴です。

「出汁をベースに醤油や塩などの味つけをしますが、ベースの出汁がビシッと決まっていれば、塩味や甘味はそれほど必要がないんです。もう1つ欲しいのが、季節にあった『comdiments』、日本語でいう薬味。世界のだいたいの料理は、うま味と薬味をベースに作られているといっていい」と松嶋さん。

また、うま味は少量でも満足度を感じられるのも特徴。食べる量や塩分や糖分を抑えてくれるという点にも松嶋さんは注目しています。「自分たちが、味覚の生理、うま味や、うま味の上に構築していく他の成分の味覚を理解した上で、食事を作ったり楽しんだりすることができれば、塩分や糖分の摂り過ぎによる病気の予防にもつながるのではないか? 自分たちが健康に生きるための武器の1つになると思うので、味のことをよくわかる必要があるんじゃないかな」と話してくれました。

うま味成分たっぷりの『KEISUKE MATSUSHIMA』の料理

レクチャーの後には、うま味たっぷりの『KEISUKE MATSUSHIMA』の料理の数々をいただきました。

「二ース風サラダ」は、ドレッシングや塩は不使用。オリーブ、ピーマン、そら豆、トマト、などの新鮮な野菜を、アンチョビやツナに含まれるうま味と塩分、ネギやバジリコなどの薬味と一緒に味わいます。

他にも、栄養価が高いことで知られるスペルト小麦を使った「グリーンアスパラのリゾット」、大豆ミートを使った「ボロネーゼ」、本場の「ラタトゥイユ」、などの数々の料理が並びます。

どれも塩や砂糖などの味付けは控えめで優しい味わい。うま味や薬味が巧みに使われているので物足りないということはありません。むしろ、素材やうま味を感じるためによく咀嚼しゆっくり食べようという意識が芽生え、食事の満足度が高まる気がしました。

人間の味覚やうま味の可能性について知ることができた今回のイベント。より充実した食生活や健康のために、料理を作るときも食べるときもうま味を意識してみようと思いました。

KEISUKE MATSUSHIMAケイスケ マツシマ

KEISUKE MATSUSHIMA

住所:
東京都渋谷区神宮前1-4-20 パークコート神宮前1F
TEL:
03-5772-2091
営業時間:
11:30~15:00(Last in 14:00) 18:00~23:00(Last in 21:00)
営業日:
年中無休(年末年始はお問い合わせ下さい)
URL:
http://keisukematsushima.tokyo/

更新: 2018年5月28日

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