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SPECIALレポート|100年以上も続く保存食「梶賀のあぶり」

本州の中心に位置する三重県尾鷲市の最南端の梶賀町は、昔から養殖や沿岸漁業を営む漁師の町。過疎化が進み、人口が190名足らずの小さな町に残る、貴重な保存食とは?

そんな梶賀町で100年以上も前から、漁師やその家族の間で食べられてきた保存食が「梶賀のあぶり」です。その「梶賀のあぶり」が、最近、テレビでも取り上げられる地域おこしのコンテンツとして注目を集めつつあります。

まずは、「梶賀のあぶり」の作り方をご紹介。梶賀町で水揚げされる、サバなどの小さな魚からまずは内臓を取り、よく洗って魚のぬめりを取り除きます。そして、塩をふり、もう一度洗ってから、大きい魚の切り身で竹串1本に3〜4匹、小さい魚で竹串1本に12〜18匹の魚を打ちます。その串打ちした魚をコンロの上に載せ、サクラやカシを燃やして発生させた煙で約1~2時間、いぶして出来上がりです。

「梶賀のあぶり」を何かにたとえるとしたら、サクラチップでスモークした肉。梶賀町で水揚げされた鮮度の高い魚を美味しさはそのままに、魚本来の濃厚な味わいをスモーキーにいぶして閉じ込めた、格別な味わいです。噛みしめれば噛みしめるほど、口の中に芳醇に広がる旨みが日本酒ともよく合います。

最近では、東京・日本橋にある「三重テラス」や築地市場でも販売されていて、手に入りやすくなってきています。また、三重県紀北町にある道の駅「始神テラス」でも、ドライブの途中に買い求めることができます。でも、やはり地元でいただく味は別格。梶賀町には、週に2日間しか営業されない店があります。それが完全予約制の「網元ノ家」。梶賀町に残る古民家を改築して、地域おこしのためにつくられた店なのです。

玄関をくぐると、田舎のおばあちゃんの家にでも来たのかと錯覚するくらいの大きな屋敷で、大広間が客人を迎えてくれます。ぜひ紹介したい人気メニューは3つ。

1つ目は、「梶賀のあぶり」と、県内で採れた野菜やキノコがたくさん入った釜飯です。「梶賀のあぶり」と野菜から染み出すエキスがお米に絡み合って、なんとも香ばしい味わい。「梶賀のあぶり」をほぐし、よく混ぜてからいただくと、ほっこり幸せな気分になります。これでたったの1,000円とは、なんとリーズナブル。出来上がりまでには約40分はかかるので、予約時に「釜飯」を注文しておくことをおすすめします。

2つ目は、もっとも親しまれているメニューの「梶賀のあぶり」と「餅茶」。「餅茶」は、漁師の昼ごはんとして昔から食べられてきた地元飯。焼餅を載せたご飯にほうじ茶をかけて、「梶賀のあぶり」と一緒にいただきます。この日はブリとイサキを使った「梶賀のあぶり」に、手作りのお漬物がついてきました。ブリは甘みと旨みが同時に感じられる味わいなのに対して、イサキはさっぱり。餅茶と一緒に頬ばれば、香ばしさが口いっぱいに広がります。こちらも、やはり1,000円です。

そして、最後には、デザートの「甘ぁ〜い焼餅ぜんざい」を。ネーミングほど甘過ぎず、焼餅と小豆がほどよく相まって、別腹にスムーズに入り込みます。驚くことに、デザートにまで「かますのあぶり」付き。最初から最後まで、「あぶり」を堪能できます。ここ「網元ノ家」でしか手に入らない特別な「梶賀のあぶり」も、限定品としておいてあります。

魚の種類によって、様々な味が楽しめる「梶賀のあぶり」。季節を変えて、また、訪れてみたくなります。

撮影:浅田克哉

田中雅之

WRITER 田中雅之

ディオール、シスレーなどの外資ブランドのコミュニケーション&PRを担当後、2015年2月、ミヤビブランドコミュニケーションズ株式会社を設立。現在、ハイエンドブランドのブランドコミュニケーターとして活躍中。また、美味しいもの、美しいものを求め、日本各地を旅して取材、配信をしている。

更新: 2018年3月29日

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