GIFT

大切な人への贈り物に、ちょっとした手土産に

日々をより豊かに暮らすためのヒント集

|料理家のご馳走モノ|
山田英孝さん

「馳走」とは、昔、大事な客人をもてなすために馬を走らせ、奔走し、様々な食材を調達してきたことに由来する言葉。江戸時代後半には、もてなされたことへの感謝を込めて、「御馳走様」が食後の挨拶として使われるようになったと言われています。そして、「ご馳走」と言えば「もてなし」や「豪華な食事」という意味になるわけですが…、しかしながら思うのです。モノやコトに溢れた時代に暮らす私たちのご馳走とは、“もてなし”や“豪華”に限らないのではないでしょうか。例えば、誠実に育てられた野菜、大好きな母の手料理、大切な人とテーブルを囲む時間なども、“日々のご馳走”と呼ぶことができたり。普段の食事が自分にとって“ご馳走”である、そんな風に言える暮らしに憧れて、私たちは料理家の皆さまに会いに行くことにしました。なぜならきっと料理家とは、“日々の食事”を“日々のご馳走”に成長させるアイデアを提案してくれる存在。だから様々な料理家さんにお会いして、まずは料理をする上で大切にしているモノ=食材・食品・道具など(名付けて「ご馳走モノ」)を教えていただきながら、料理のこと、暮らしのこと、話を聞いてみたいと思います。料理家たちの言葉をヒントに、皆さんも、自分にとっての日々のご馳走のこと、ぜひ考えてみてください。

世界中の食材、道具を生かして “美しい味”を表現したい。

何を隠そう、山田英季さんは料理道具マニア。たとえ海外へ行っても、「台北に行った時は『台北かっぱ橋』、ソウルに行った時は『ソウルかっぱ橋』と検索をかけて、道具を売っている場所を探しましたね」と言うほど、いつでもどこでも魅惑的な料理道具を探しています。今、欲しいものは、台湾のとある店で売っていた大きな“竹のせいろ”。「もしかしたら似たようなものは横浜中華街でも買えるかもしれませんが、その店はリペアもしてくれるんです。長く使い続けることを考えると、リペアは大事なポイントでしょう。しかも『せいろを直す』ということがあると、また台湾へ旅に出る目的にもなりますよね。そういうのがまた楽しいな、と」

かく言う山田さんが、普段、料理の相棒として特に大切にしているものは包丁です。「料理は、大体“切ること”から始まりますが、あまり切れない包丁で食材を切ると、繊維がぐちゃぐちゃになって美味しくなくなります。きちんと研いだ包丁でスパッときれいに切ることで、断面の色が変わるのが遅くなったり、味が均等になったり、結果的に美味しくなるんです」。そして、ご自身のポリシーは“食材にストレスを与えないこと”だと言う、山田さん。そんな山田さんの一番大事な包丁は、岐阜県関市のプロ用包丁の専門メーカー「ミソノ刃物」のもの。

「レストランでの修業時代から使用しています。プロ用包丁を作り続けてきたメーカーだけあって、刃持ちの良さと切れ味は抜群です。僕にとって包丁は腕の延長みたいなもの。いわば手の一部なので、できれば自分のもの以外、あまり使いたくないんです」

さて、ここで改めて山田さんのキッチンを見渡してみれば、海外の可愛らしい調理道具から少しマニアックな道具がいっぱい。例えば、医療用ピンセット、デザイン用はさみが置いてあるのも、「医療用ピンセットは、盛り付けの時に何しろ便利。デザイン用のはさみは切れ味がとても良いんです」と言います。“キッチン用”に限らずとも料理道具として使えるものは世の中にたくさんあり、モノを自分らしく使いこなすことで料理はもっと楽しくなる…。

そんな山田さんは調理道具にしても食材にしても世界中のいろいろなものに触れて、“美味しい”を表現したいと言います。「美味しいは美しい味と書きます。見た目も含めて美味しいなんです。それと、食べる人を思い浮かべて料理を作りたい。誰かのために作ることで料理はより美味しくなると思いますよ」

一番左上の写真は、中央に置いてある曲がったスプーンを特に注目して撮った1枚。このスプーンは山田さんが自力でペンチを駆使してねじ曲げた注ぎ口付きのスプーンで、ソースなどをかける時に便利。その右側に置いてあるへらは切り身の魚などを盛り付ける時などに使う。また、左側に置いてあるのは、山田さんお気に入りの形をしたペッパーミル。しかし、生産中止で、もうこの形のものは売っていないそう。右上と左下の写真は、ケータリング、イベントなどで出張して料理を作る機会が多い、山田さんのオリジナル道具箱。右下の写真の中央の器に入っているのは、彩りきれいな岩塩です。

01.イタリア「ARDOINO」のオリーブオイル

「オリーブ油にはコクを出す、香りを添える、調味料的な役割の3つがあると思っています。その3つの役割を用途により使い分けていますが、味のバランスが絶妙に良いのがこのオリーブオイルです」と山田さん。1870年創業のアルドイノ社のオリーブオイル。無理な圧力をかけることなく搾られています

 【問】フードライナー
http://www.foodliner.co.jp/

02.「GABANRブラックペパーホール袋入り」

香りの良い高品質の原料を使用した、世界的なブランド「GABAN」(ギャバン)。家で外食に近い風味を再現できます。「ペッパーミルで黒こしょうを振りかけるだけで、料理の雰囲気ががらりと変わります。ギャバンは風味が良く、手に入りやすいのも良いですよね」(山田さん)

【問】ハウス食品
0120・50・1231
http://housefoods.jp

上の写真に写っているその他の道具は、医療用ピンセットと皮むきナイフ。ピンセットは「細ねぎを散らしたり、食材の向きを直したり、盛り付け箸がわりに使っています」と山田さん。使い勝手の良いものを求め、医療用ピンセットが売っていれば手に取ってみると言います。また、ナイフは海外で偶然見つけたもの。玉ねぎの芯を抜いたり、いちごのへたを取ったり、細かい仕事をする時にも便利に使えるそう。惹かれた点は、柄が木なことと、刃と柄の間にちょっとだけ隙間があり、刃がしなやかに湾曲しやすいところだとか

この写真で鍋の下に敷いているのは、ソースなどを煮詰める小鍋を火にかける時に敷くと便利な道具。フランスにあるイスラム系の調理道具屋さんで購入したもの

山田英季さん {HidesueYamada}

フードプロデューサー 山田英季さん {HidesueYamada}

フレンチ、イタリアンでシェフを歴任した後、もつ焼き屋「でん」を開店させる。また、フードプロデューサーとして店舗、書籍にレシピを提供。2015年11月に(株)andrecipeを立ち上げ、「ごはんと旅は人をつなぐ。」をテーマにしたサイトを運営している。その他、著書は『煮ものの王道レシピ』『3ステップで10分丼101レシピ』など

contributing Editor&Text バブーン(矢作美和、古里文香、茂木理佳、川上萌、井上真子人)
Photo:長野陽一

※こちらの記事は2016年4月20日発行『メトロミニッツ』No.162に掲載された情報です。

更新: 2016年12月12日

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