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呑んで食べて1人1万円以下

|嗜む日本酒[5]|
エレガントに日本酒を嗜む和の店「勢いのある新参店」 中編

優雅な設えの中、しっかりした日本料理が食べられてかつ日本酒には一家言あり。程よく2、3杯日本酒をいただき、お腹も満たして1人1万円以下に収まる気前の良いお店をご紹介します!料理とお酒の美味しさに、ついつい杯と皿を重ねて、1万円オーバーしてしまってもあしからず…。

紀風[ 恵比寿 ]

料理に寄り添ったお酒を 極上の時間が流れる和食の“劇場”で

まだ真新しい木の引き戸を引くと、スポットライトで照らされたカウンターがお目見えします。少し緊張感の漂う凛とした店内。L字型の6席だけのカウンターに腰を落ち着けると、店主・城田澄風さんの優しい笑顔が。「基本的にカウンターの中ではひとりなので、自分で目が届くことのできる席数ということで6席にしたんです」。料理は6000円、10000円、15000円のコース料理。一番の思い入れのある蔵元は竹鶴酒造という、城田さんが選ぶ日本酒は常時約20種類ほど。「竹鶴は杯を重ねたくなるお酒であることはもちろん、石川杜氏のお酒に対する熱い想いに深く共感しているんです」。竹鶴のほかには、伯楽星2100円、七本槍1300円、松の司1200円など食事に優しく寄り添うような”食中酒”をラインナップ。「いまの時期は、冷やおろしなどが美味しいですが、これから寒くなるとお燗ですね」と見せてくれたのがカウンター奥に置かれた「燗銅壺(かんどうこ)」と呼ばれる、江戸時代から続く、炭の火で燗をつける道具。炭の温かさが劇場のような空間に更なる彩りを与えてくれます。

【BEST MARIAGE】小鍋仕立て鱧すき風卵とじ三つ葉粉山椒×竹鶴 雄町純米

【BEST MARIAGE】
小鍋仕立て鱧すき風卵とじ三つ葉粉山椒(ある日のコースより)×竹鶴 雄町純米(広島県・竹鶴酒造)1,300円

鱧の骨でとった出汁で甘辛くすき焼き風に作られたうまみたっぷりの小鍋には、ボディがしっかりとした竹鶴の雄町純米を。鍋に負けない、どっしりと豊かなうまみが出るよう熱燗にて提供します。鍋を食べてから口に含むと、ふくよかさだけなくキレの良いドライさも持つ竹鶴が、甘辛さを一度リセットさせ更なる食欲が湧いてきます

【BEST MARIAGE】八寸×鯉川特別純米

【BEST MARIAGE】
八寸(ある日のコースより)×鯉川特別純米(山形県・鯉川酒造)1,300円

月見をテーマにした八寸で、器は上弦の月をモチーフにしたもの。焼舞茸のおろしポン酢鈴子和え、子持ち鮎の有馬煮、鴨ロース、ほおずき玉子、など秋の味覚が並びます。合わせるのは食中酒を目指して造っているという鯉川。舞茸の香りを引き立てたり、鴨ロースの持つ肉の甘みをより豊かにしたり、と各料理の良さを引き出します

きふう
EL:03・5422・7792
住所:東京都渋谷区恵比寿1・31・10
営業時間:11:30~14:00、18:00~21:00 月定休

橘松茶寮[ 赤坂 ]

古伊万里や有田焼の器で新しい味との出合いを

場所は赤坂の裏通りの雑居ビル2階。足を踏み入れると京都の和食屋さんのような小粋な空間が。「京風のくずした割烹をイメージしました」とは、料理長の松村仁さん。こちらでは魚の焼き物に野菜ソース、フォアグラとキノコを合わせたフレンチテイストのお皿など「これ和食?」と驚くような料理が提供されます。そんな料理に合わせる日本酒は? との質問に、出していただいた例えばの1本が、その名も「フォアグラ」。こってりとした味の濃い料理に合う、カルバドスの樽で熟成させたお酒なんだそう。ちょい”くずし”の変化球で、料理もお酒も新しい出合いが期待できそうです。

【BEST MARIAGE】前菜の盛り合わせ×黒龍 ひやおろし

【BEST MARIAGE】
前菜の盛り合わせ5,999円のコースより(写真は2人前)×黒龍 ひやおろし(福井県・黒龍酒造)900円

鴨ロース 菊の花のソース、生麩の舞茸田楽、炙り鯖寿司、しめじと柿の利休和えという4品と合わせるのは、黒龍のひやおろし。程よい酸と旨みのバランスを持つため、お肉、お魚、キノコと異なる食材のどの前菜とも寄り添います

▶ちなみに、目玉の1杯と1皿は?

甘海老のだしと西京味噌、生クリーム、バターなどのソースがかかった濃厚な茶碗蒸しには「フォアグラ」(ハレの日酒)1,200円。ともに持つリッチニュアンスを引きたて合います

きっしょうさりょう
TEL:03・5544・8965
住所:東京都港区赤坂3・8・7中村屋ビル2 階
営業時間:17:30~23:30 日定休

松まつもと[ 中目黒 ]

キャリア充分の職人が醸す心地いい空間と会話

メニューの三本柱は「自家製豆腐、築地の目利きが選ぶ野菜、活締めの魚」(こちらはおまかせ8品のコース4300円にも!)。長い料理人キャリアのうち、二期倶楽部で13年以上腕をふるった店主の松本幸子さん。豆腐は、二期倶楽部で毎日9リットルの豆腐を仕込むうちに、作り立て豆腐の美味しさに目覚めたから。「まぐろ節と岩塩を添えた自家製豆腐が突き出しなので、皆さんに、半ば強制的に召し上がって頂いています」と笑います。野菜も当時新鮮な地物に出合い、野菜の美味しさをもっと伝えたくて、名物「野菜のお造り」に。魚への情熱は、コの字カウンターで、ぜひ直接伺ってみてください。

【BEST MARIAGE】八寸×七田 七割五分磨き雄町 ひやおろし

【BEST MARIAGE】
八寸1,400円×七田 七割五分磨き雄町 ひやおろし(佐賀県・天山酒造)

まるでビジューを集めたような「八寸」。グラマラスなうまみとコクを持つ「七田」のひやおろしは、かつおと昆布のだしジュレをかけた焼きナスのムースを筆頭に、秋の味覚をしっかり受け止めます

▶ちなみに、最初の1杯と1皿は?

口のなかでしゅわっとジューシーな甘みが広がる「手取川 あらばしり 大吟醸生酒」(石川県・吉田酒造店)は、ビール代わりの1杯にふさわしい。新鮮な「野菜のお造り」(写真は2人前)

まつまつもと
TEL:03・6451・0297
住所:東京都目黒区上目黒2・24・14
営業時間:18:00~24:00LO、土18:00~翌3:00 LO 日祝定休

Text:辺土名悟(gringo&co)
Photo:柳大輔

※こちらの記事は2014年11月20日発行『メトロミニッツ』No.144掲載された情報です。

更新: 2016年11月28日

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