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第25回 伊藤 忍さん
本当のベトナム料理を伝えたい

ベトナム旅行に行った際に目にしたベトナム料理の工程に魅了され、ベトナム(ホーチミン)に住んでしまったという、伊藤忍さん。
それまでに日本で得た料理の知識を一旦ゼロにし、本場のベトナムの料理と向き合うこと3年半、現地での料理教室&カフェ運営の参画も体験し、帰国。
帰国後は、運命のようにベトナム料理を教える流れに身を置く日々とのこと。
「ベトナム料理って、実はご飯に合うおかずが多くて、日本食と似ているんですよ」
と伊藤さん。
今回は、これからの季節が旬“ゴーヤ”を使用した「ゴーヤと牛肉のあえもの」をご紹介いただきました。

奥が深いベトナム料理

日本にいるとベトナム料理の代表格は、「生春巻き」と「フォー」。ところが、伊藤さんによると「ベトナム人の方で、生春巻きを口にすることなく人生を終える方はたくさんいると思いますよ。ほとんど、南部の人しか口にしないと思います。フォーに関しては、現地の人は昼や夜はあまり食べません。基本的に朝食の食べものなんです」日本に伝わってきているベトナム料理というものは、料理であって食文化ではないようだ。
伊藤さんは言う。
「海外から見た日本食の代表格はすし。でも日々の食事ではすしよりも刺身のほうが食することが多いですよね。このように食文化の異なった伝わり方は仕方がないと思うんです。でも、私は少しでも本当のベトナム料理を伝えていきたいなと思っています。日本人の知らない料理がまだまだたくさんあるので」
ベトナム料理の特徴は、“下ごしらえがすべて”と、伊藤さん。
今回の調理を見させていただいても、確かに素材それぞれを丁寧に塩もみしたり、火入れをしたりする。そして最後に下ごしらえをし終えたものを、一つにまとめて手で和える作業に。
「手で和えることで、人の気が移りより美味しくなるといわれているんですよ(笑)」
ベトナム料理は甘味、酸味、辛味、に塩と油の5つが揃うこと“おいしい”というバランスになり、そして、芳ばしさとハーブなどの良い香りが加わるとパーフェクトな料理と考えられているとのこと。
しかし、最後の味の決めは自分でというスタイルのベトナム人。
そのため、テーブルには様々なタレや調味料が並べられているのだそうだ。

ベトナムの文化も一緒に

伊藤さんの料理教室は今年で10周年。レッスン前にはもちろん、レシピの紹介をする。しかし、その時にどうしても文化の話は欠かせない。
「本当の食文化を伝えたいので、どうしてこの料理が誕生したのかということも踏まえ、料理を教えながらも色々と話をしていますね」
料理教室「an com」の意味は『食事をとる』ということ。
ベトナム人は自分の体調に合わせてどの食材を摂取すればよいかということを知っているという。
「そうなんです。野菜の効能をしっかり覚えていて、気温が暑くなってきたら身体の熱を下げるためにこの野菜を食べよう!とちゃんと意識するんですね。私の顔を見て、この野菜を食べなさいと言われ、その通りに食していたらとても体調が良くなった経験も私自身あります。今回ご紹介する『ゴーヤと牛肉のあえもの』に使うゴーヤは、ベトナムでは暑さの中、肝臓の熱を下げて血液の流れをスムーズにして、体を涼しく保ってくれる食材と言われています。」
これからが旬のゴーヤ。夏のレパートリーにおすすめのメニューです。

|ゴーヤと牛肉のあえもの|

<材料>(4人分)
ゴーヤ  中1本
にんじん  50g
紫玉ねぎ  1/4個
牛切り落とし肉  100g
油  大さじ1と1/2
にんにく(みじん切り)  1/2片分
ピーナッツ(砕く)  大さじ2
パクチー(刻む)  適量
海老せん  適量(中温の油で揚げる)

●A・タレ
湯、砂糖、ヌックマム  各大さじ1
レモン汁  大さじ2/3~大さじ1
にんにく(みじん切り)  1/2片分
赤唐辛子(輪切り)  1本分

●B・牛肉の下味
ヌックマム  小さじ1
こしょう  少々

 

<RECIPE>
①ゴーヤは縦半分に切り、スプーンなどでワタを除いてから薄切りにする。塩小さ1(分量外)をまぶす。2~3分おきしんなりしたら、水洗いをして塩を落とす。

②にんじんは千切り(または飾り切り)、紫玉ねぎは薄切りにしてボウルに入れ、塩小さじ1/2(分量外)をまぶす。2~3分おいてしんなりとしたら、水洗いをして塩を落とす。

③Aの湯に砂糖を溶かし、ヌックマムとレモン汁を加えて混ぜる。味見をし、甘味、塩気、酸味が同じバランスで感じられる様にレモン汁の量を調整し、Aのにんにく、赤唐辛子を加える。

④食べやすい大きさに切った牛肉はBをまぶして2~3分おいて下味を付ける。フライパンに油、にんにくを入れて火にかける。にんにくの良い香りがしてきたら、牛肉を加えて炒める。

⑤ボウルに水気を絞った①のゴーヤと②のにんじんと玉ねぎ、④の牛肉を入れ、③のタレを半量程度加えてよくあえる。

⑥器に盛り、ピーナッツとパクチーを散らし、海老せんを添える。残ったタレは水大さじ1(分量外)で薄めて添え、食べる時に好みでかける。

伊藤 忍(いとう しのぶ)

伊藤 忍(いとう しのぶ)

1972年神奈川県生まれ。
山脇学園短期大学、家政科卒業。
辻クッキングスクールでのアシスタント勤務を経て、(株)食のスタジオ入社。6年間にわたり、フードコーディネーターとして、雑誌・広告用の料理企画とスタイリング、および食品メーカー向けの販促メニューの企画・開発などを手がける。
2000年にベトナム・ホーチミン市へ移住。料理研究のかたわら、当時ベトナムではまだ珍しい隠れ家カフェ&料理教室「La Fenetre Soleil」の立ち上げに全面参加。マネージャーとして、カフェでのメニュープランニング、観光客向けのベトナム料理教室のコーディネーションに携わる。約3年半のベトナム滞在を終え、日本に帰国。
2004年より、ベトナム料理研究家として活動開始。
2004年10月よりベトナム料理教室『An Nam Table』を主宰。2006年4月に料理教室を神奈川県横浜市に移転し、『An Com』に改名。2010年5月より、東京目黒区自由が丘に移転。

著書紹介:「はじめてのベトナム料理 ふだんのごはんとおつまみ、デザート」
URL: Amazonはこちら

更新: 2014年7月3日

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