SPECIAL

食と暮らしを豊かにする特集記事はこちらです

|オリーブオイルと一緒に暮らそう[2]|
最近、気になる日本のオイル事情 「浜名湖のオリーブ畑から」

オリーブが日本に伝来したのは400 年以上前、安土桃山時代だと言われて います。栽培が始まったのは明治の頃 で、当時の農商務省が指定した、香川、 三重、鹿児島の3県で試験栽培が始ま りました。そう聞くと、意外と歴史があ ると感じませんか? しかし、どうで しょう? 今、日本のオリーブオイルの 産地と言えば、香川県の小豆島くらい。 歴史の割に、それほど身近な食材では ないような気がするのですが。しかし、 いよいよ最近、オリーブを栽培する人が 日本各地に現れつつあります。そこで、 向かうは静岡県。2010年より栽培を 始めた「Agri浜名湖」(アグリ浜名 湖)を訪ね、現場を見てきました。

静岡県湖西市、浜名湖畔近くの丘の中腹にあるアグリ浜名湖のオリーブ農園。訪れた5月の終わりは、オリーブの花が落ち、そろそろ実がつき始めた頃。茂った緑の葉が湖からの暖かな風に揺れていました。2010年、オーナーの奥田孝浩さんは約1万2000㎡の土地に740本のオリーブを植え、オリーブオイルや実、葉の加工品の生産をスタートしました。翌年は約20㎏、その翌年は約150㎏、さらに翌年(昨年)は驚きの約1tもの実を収穫。

今年は花の量から、さらにその数倍の収穫が見込まれるそうです。「オリーブは日照時間が重要です。日当たりが良い土地で、水はけも良く、冬でも土が凍らない土壌であれば比較的育てやすい植物です。だから、ここでもできるだろうという確信がありました」日本のオリーブの栽培面積は、2000年代半ばまで長い間、ほぼ40〜60万㎡とずっと横ばい状態が続きました(農林水産省の特産果樹生産動態等調査より)。

しかし、2008年には96万㎡、2011年には207万㎡にまで急拡大。依然として小豆島が中心ですが、大分や福岡でも発展し、神奈川や群馬などでは地方自治体が主導して栽培を推進する地域が増えています。「健康ブームをきっかけに、オリーブオイルのヘルシーさと美味しさが広く認知されたからでしょう。ただ、日本のオリーブオイルの生産量は輸入品の量に比べると1%以下と小規模で、価格も割高。

それでも買ってもらうには、付加価値が必要だと思います」アグリ浜名湖のオリーブオイルは、品種の個性である香りや苦み、辛みをよりしっかりと残したいと、青い実のうちに搾油するなど、試行錯誤中。「品種、搾油時期によりそれぞれ味が異なりますが、搾油したばかりのオリーブオイルはどれもこれも素晴しく美味しい。今年は昨年まで花をつけなかった品種も育っており、新しい味のオイルが今から楽しみなんです」

オーナーの奥田さんの実家は湖西市のみかん農家。50歳を前に会社経営を辞め、農園に着手

農園で育っているのは小豆島で広く栽培されているネバディロ・ブランコ、ミッション、ルッカ、マンザニロという4種に加え、アルベキナ、シプレシーノの計6つの品種

昨年のオリーブオイルは、苦味と辛味が際立つネバディロ・ブランコと、清々しい香りのアルベキナ、そのブレンドの3種(昨年は各100ml・1,785円)。今年はルッカなども搾油する予定

植えたばかりは直径数cmと細かった苗木も今では約15cm まで立派に生育。「前職の仕事で訪れたイタリアでオリーブオ イルの美味しさに開眼したのがきっかけ」と奥田さん

搾油で使う機械は小豆島でも一般的なイタリア製。木から摘 んだオリーブの実を入れると、洗浄後に粉砕し、ペースト状に なるまでかき混ぜ、遠心分離機で油を抽出する仕組み

農園のオリーブの葉を天日乾燥し、焙煎したオリーブ茶360 円。生葉を特殊な技術で粉末にし、生地に混ぜたオリーブの シフォンケーキ380円。併設のカフェ・オリーバで注文できます

Agri 浜名湖/カフェ・オリーバ

電話:0535783352
住所:静岡県湖西市横山大久保31
営業時間:8:3017:3058月は18:00頃まで)火定休
http://www.agri-hamanako.jp/

搾油設備がある農園事務所にはカ フェ・オリーバを併設。2階からは浜名湖が一望できます

Text:Text 佐藤太志(GRINGO&Co.)
Photo:菊池良助

※こちらの記事は2014年6月20日発行『メトロミニッツ』No.140掲載された情報です。

更新: 2016年10月19日

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop