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スタイルのあるお店

|EAT GOOD[4]|
TOKYO EAT GOOD STYLE

「EAT GOOD」の言葉の先に見えてきたのは、“良いもの”に真っ向、真摯に向き合う人々の姿。もちろん“良いもの”の価値観は店ごと異なりますが、編集部は各自のスタイルで、本気で“良いもの”に取り組む東京のお店に行ってみたくなりました。

牛込神楽坂/日本料理「さいめ」

地元埼玉の美味しいをありのままに届けたい

2015年5月にオープンした燗酒と野菜中心のコース料理を出す「さいめ」。店主の嶋田寛元さんは開店前に1年かけて車で日本中を回り、食材を探す旅に出ました。その中で出会い、感銘を受けた生産者とは今もしっかりと繋がっています。そして、この旅で何より感じたのは、地元で採れたものを地元で食べることの大切さ。そこで出身地の埼玉県に目を向けるようになったのでした。探してみると埼玉は実にいい食材の宝庫であることを知ったそう。今では、埼玉から農家の野菜や黒豚、クラフトビールなど様々なものが届きます。自分の足で探して向き合った生産者は現在5県に。ここまで絞り込んだのには理由がありました。それは1年に1度はどの生産者にも会いに行きたいから。付き合いのある農家は小さいところが多いけれど、その分大量生産ではありえない野菜の在り方を教えてくれる。直に畑に立ち、土を触ることで嶋田さんが知った世界を、今度は料理を通じて食べ手に伝えていきたいと言います。また、調理法も地元発。川越には芋を吊るして焼く伝統的な窯があり、さいめでは野菜も肉もこれで吊るし焼きにしています。「野菜をまるごと料理できるところがいいんです。人参は上と下で味が違うんですよね。そういうことをもっと知って欲しい」と嶋田さん。調理法がシンプルだからこそ素材の個性が前面に出てくる料理。それをさらに引き立てるのは大切に育てている塩麹や?、味噌などの自家製調味料でした。この調味料によってどこにもない「さいめの味」になるのです。今日もお店のカウンターで、料理と会話というご馳走を提供しながら、嶋田さんは生産者と食べ手をしっかりと繋いでいます。

TOP画像は、窯焼きした旬の野菜。にんじんには、にんじんの葉とルッコラのペースト、新玉ねぎには玉ねぎの葉のソースを。料理はコースのみで5,000円。

(左)素材は窯の中で吊るされて、低めの温度の炭火でじんわりと火を入れられる(左中)22軒の小さな農家が集まって作った生産者グループ「ときのこや」から送られてくる野菜。作る人によって味が違うのも楽しみの1つ(右中)左から、手作りの醤油麹、味噌、醬。桶で作ると香りも味わいもふくよかになるという。醤油麹や醬は継ぎ足し、継ぎ足ししているので味が年々深まる(右)カウンターだが、ゆったりした間隔で落ち着ける

週末には山菜を取りに埼玉へ。付き合いのある生産者に教えてもらいながらの作業だ。この日はクレソンやセリの他、ウドナや山菜の女王と言われるモミジガサ、関東タンポポ、イラクサなどを豊富に収穫。山菜取りだけでなく、ひと月に一度は生産者に会いに行っている

さいめ
TEL:090・9813・9980
住所:東京都新宿区納戸町33 ガーデンヒルズ市ヶ谷101
営業時間:18:00~23:00(20:30以降及び月曜はバータイム)/日定休

Text:岡本ジュン
Photo:松園多聞

※こちらの記事は2016年6月20日発行『メトロミニッツ』No.163掲載された情報です。

更新: 2016年9月23日

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