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シェフの必需品|西麻布「Margotto e baciare」加山賢太 ~後編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。前回は西麻布の「Margotto e baciare」の加山賢太シェフが料理に興味を持ったきっかけや、大事にしている師匠からの言葉などを伺いました。そして、今回お聞きしたのは加山シェフにとっての“必需品”について。早速ご紹介していきます。

奥井海生堂の羅臼昆布

はじめにご紹介してくださったのは、コンソメを引くための大切な材料である「奥井海生堂」の羅臼昆布。「Margotto e baciare」の旨みのベースになっているのだとか。

「コンソメスープには一番思い入れがあるのですが、小さい頃大好きだった洋食屋のコンソメスープがすごく美味しくて。当時、小学5年生ながら将来絶対コンソメスープを出すお店をつくろうと決心しました(笑)。奥井海生堂の羅臼昆布は、『かんだ』で修行をしていた時にずっと使っていました。昆布といえば絶対にここ。コンソメスープには昆布の下部分のみを一番だし感覚で使っています。うちのお店は、味はもちろんですが"香り"をとくに大切にしています。作り方はもちろん、提供スタイルもワイングラスで提供したりと、細部にまでこだわっています。」

フレンチであるにも関わらず、こちらの昆布をはじめ醤油など和の調味料にもこだわられています。

「高村刃物製作所」の包丁

お次は、料理人になくてはならないアイテム「包丁」。高村刃物製作所は、“よい材料、よい鍛造・熱処理、よい研ぎ”という信条を掲げ、初代・勇氏が終戦後に立ち上げた製作所です。当時は菜切り包丁と農業用刃物が主製品だったそうですが、時代の移り変わりとともに、家庭用包丁と本職用包丁の製造が主流になりました。そんな高村刃物製作所の包丁を加山シェフが初めて使ったとき、衝撃を受けたと語ります。

「これは“打雲 花”という筋引き包丁です。この包丁は刃がかなり薄いので、何にでも使う訳ではありません。大事なキメの包丁というか、お肉に火入れしてお客様に提供する寸前のタイミングで使っています。包丁はたくさん持っているのですが、高村さんの包丁をはじめて使ったときに、食材に包丁がのめり込んでいくような切れ味で。食材が包丁に吸われるというか。かなり衝撃を受けました。」

今までに体験したことのない切れ味は、加山シェフを一瞬で惚れこませたよう。またこちらの包丁は日本だけでなく、世界的に有名な外国人シェフも使用しており、今や入手困難な状況なのだとか。

料理本

新しい料理を考えるときに必ず読み返すという“本”。どの本も長年愛用しているだけあって歴史が入っていながらも、丁寧に保管されていることが見てわかります。一見スタイリッシュな印象のある加山シェフですが、トレンド性のある料理よりも、10年20年後も残っているようなクラシカルなものを大切にされています。

「三國清三さんの本は、東京に出てくるときに親父がすごく良いからと一冊だけくれたんです。何回読んだかわからないくらい一番読んでるのですが、すごくシンプルで。例えばピーマンしか使ってないレシピとか、切っただけ、とか。これでいいんだと、気持ちを落ち着かせてくれます。自分の考えをクリアにしてくれるんです。多分僕と同い年のときに三國さんがお店を作っていて、その時こんなこと考えてたのかと思うと、パワーをもらえますね。日本料理の本は料理だけじゃなくて生き方とか、料理人とはというのを語っていて、僕の創作意欲を掻き立ててくれます。本当に良い本。」

その他にもシェフシリーズのフランス料理の本や卵料理の本も愛用されており、複雑さとシンプルさを掛け合わせながら新メニューを思考していらっしゃいます。

トリュフ

世界最高峰の厳選したトリュフを扱うことだけあって、やはり必需品でかかせない食材。トリュフに頭を抱えることは多々あったのだとか。

「うちのお店がトリュフのお店ということもあって、料理にはつきまとうんですよ。最初、卵か生クリームか、じゃがいもか、そういう誰でも簡単に想像できるものしか僕にも想像できなくて、料理を作るのがすごく大変だったんです。ですが、3年間やっててひとつわかったことがあって。トリュフって、あまり相手の食材を選ばないんです。一皿の構成をちゃんと考えてあげれば、結構なんでも使えます。もちろんすごく酸味のあるものとか辛いみのとかはきついですが(笑)。そこに気づいてからは楽になりました。」

そんなトリュフも、しっかりとひとつひとつ、シェフとマネージャーの目によって選別されています。

 

「イタリア人が、毎週成田空港から直接うちのお店まで5-6kgのトリュフをかかえて来てくれるので、僕とマネージャーですべてのトリュフのチェックをして、選んでます。うちのお店の強みとしては、圧倒的に鮮度・質がいいというところ。ものすごい量の中から選ばせてもらっているので、自信を持って言えますね。」

最後に加山シェフに、今後の展望について伺いました。

「僕の夢は、料理という世界で夢を与えることです。ざっくりな話、イチローみたいな。でもそれって、ただ料理しているだけじゃだめだと思うし、ひとつのレストランだけで自分のワールドを築き上げるって、もうそういう時代は終わったんじゃないかなって思ってます。料理人だけじゃなくても、同じ熱量で頑張っている人間っていっぱいいて、僕そういう友達すごく多くて。全く知らない仕事をしている方の話をきくと、僕たちが考えられないようなところに情熱を注いでて、面白いんです。そういう日本のクリエイターというか、頑張っている方々と一緒にレストランを作っていきたいと思っています。」

ひとりでも多くの人に、料理を通して夢を与える。そんな情熱あふれる加山シェフの今後の活躍から目が話せません!

Margotto e baciareマルゴット・エ・バッチャーレ

Margotto e baciare

住所:
東京都港区西麻布4-2-6
菱和パレス1F
TEL:
03-3406-8776
URL:
http://margotto.jp/

更新: 2017年12月6日

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