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編集部が訪れた美味しい名店『足跡レストラン』|ル・セヴェロ|西麻布

編集部の足跡レストラン

先日、浅草の老舗すき焼き店「ちんや」の“適サシ”宣言が話題になりました。過度な霜降りを求めるのではなく、店のすき焼きに適したサシの入り具合の肉を使用するといった内容なのですが、様々なところで議論を呼んでいます。ここ何年かで赤身肉好きが増え、熟成肉が流行語のようにレストランのメニューやメディアで見られるようになってきたことからもわかるように、肉の好みや「良い肉」に対する価値基準が多様化しているということなのでしょう。

そんなふうに活発な議論になるほど、肉への熱い想いを持った日本人。2016年は恵比寿「 Hugo Desnoyer(ユーゴ・デノワイエ)」の上陸や、ローストビーフや肉寿司のトレンド化に肉ビストロの続々のオープンと、肉ニュースに事欠かない1年でしたが、中でも肉好きの間で話題になったのが西麻布に2016年4月にオープンした「LE SEVERO(ル・セヴェロ)」です。

西麻布の交差点を広尾方面に入ってほどなく歩くと見えてくる、真っ赤なファザードとフランス国旗が目印。「パリで人気の熟成肉ビストロがとうとう日本上陸」とオープン当初から話題になっていました。「LE SEVERO(ル・セヴェロ)」の本店はパリ14区にあるのですが、創業者であるウィリアム・ベルネさんは、酪農家の息子として生まれ15歳でブーシェ(精肉職人)の見習いとして精肉店で働き始めます。肉の管理について学びながら飲食店にも興味を持ち、1987年1月に自身のレストランである「Le Severo」をオープン。パリの人々だけでなく、世界から「Le Severo」の肉を求めてお客さんが集まる名店に。六本木「祥瑞」の元シェフであり、現在は京都で「le 14e (ル・キャトーズィエム)」を営む茂野眞さん、「 Hugo Desnoyer(ユーゴ・デノワイエ)」東京店のシェフである斎田武さんも「Le Severo」の門をたたき、肉の扱い方について学んだという店なのです。かねてから日本への進出を狙っていたそうなのですが、そのきっかけが現在東京店のエグゼクティブシェフに就任している柳瀬充さん。ミシュランの星を獲得しながらも現在は閉店し、そこで料理長を務めていた善塔一幸シェフが名前を受け継ぎ阿佐ヶ谷に同名のレストランを持つパリ「La Maison Courtine(ラ・メゾン・クルティーヌ)」、名前を「Epicure(エピキュール)」に変えたミシュラン3つ星店『Le Bristol(ル・ブリストル)』、 そしてグルテンフリーレストラン「NOGLU(ノーグル)」で修業を続けていたのですが、その間ずっとベルネ氏の元に通い肉の管理について学んでいたと言う愛弟子と、念願の日本進出となったわけです。

ナイフはパリ「Astrance(アストランス)」や「ALAIN DUCASSE(アラン・デュカス)」でも使用されている「Perceval(ペルスヴァル)」

徹底的に管理されたパリ本店仕込みの熟成肉を楽しめるのが「LE SEVERO(ル・セヴェロ)」の楽しみなのですが、国産牛、フランス産牛と産地を選べ、さらにイチボ、サーロイン、ハラミなどの部位を最良の食べごろを見極めて提供してくれます。ぜひ召し上がっていただきたいのがフランス産バザス牛。ボルドーの南に位置するバザス村で育った牛で、旨みがあり力強い赤身の肉が特徴。幸いなことに取材日のランチメニューに見つけたので、心してオーダーしました。

まずいただいたのが前菜「パテ・ド・カンパーニュ」。フランスの本店と同じレシピというパテカンは、超粗挽きのハンバーグのような様相です。もはやメイン料理のような存在感で、噛めば噛むほど肉の味わいが広がり、ところどころに含まれている内臓系のお肉のクセがたまらない、肉好き垂涎の一品。なのに食べた後もお腹が重い感じがありません。添えられたサラダもビネグレットの爽やかな酸味と、葉野菜の苦みが重なり、シェフの細やかな仕事ぶりがうかがえます。これだけでも食べに来る価値のある、MYパテカンランキング1位に一気に躍り出ました。

そしてメインのバザス牛のハラミ200g。「ル・セヴェロ」流はフライパンで表面を揚げるように焼き余熱で中に火を通すというスタイル。そうすることで旨みが外に出ないんだそう。表面はカリっと焼かれており、中は美しい赤に染められ、フランス本場ビストロさながらの噛みごたえのある質感を表現しています。肉の旨みに加えて、ほんのり香るナッツやチーズのような熟成香が味わいに深みを持たせています。味付けは塩コショウのみ、そこにソテーされたタマネギが甘味を加えます。ハラミと言えど内臓っぽいクセはなく、肉肉しいのに、なんだか澄んだ味わい。これが牧草地に遊牧されのびのび育った牛の美味しさなのかと、しみじみ感じられます。そしてもうひとつ大事なことが、付け合せのポムフリが最高に美味しいこと。雪室で2年寝かせた北海道十勝は芽室のじゃがいもは甘さ抜群。軽い揚げ具合も絶妙です。

噛みごたえがあるゆえに、噛み続けることでなんだか肉と対話できたような、そんな趣き深いランチになりました。お昼時は前菜+メイン+食後のドリンクで2,500円とお得(パテカン、バザス牛のハラミは追加料金)。他にもブータン・ノワールやステック アッシェ(ハンバーグ的な粗挽き肉のステーキ)などもありますし、夜は夜でサーロインやリブロースの塊肉をじっくり焼いて2,3人でシェアするなんてプランもあるので、これはまた訪れなければなりません。

LE SEVEROル・セヴェロ

LE SEVERO

住所:
東京都港区西麻布4-2-15
水野ビル 1F・2F
TEL:
03-6427-1384
営業時間:
12:00~14:00LO、18:00~22:00LO
定休日:
日曜日・祝日
URL:
http://severo.jp/

更新: 2017年2月22日

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