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✈︎WORLD FOOD PORT. イタリア発・イタリア人とパネッテリア

パネッテリアという言葉をご存じですか?
イタリア語でベーカリーを意味するんですって。
小麦のおいしいイタリアはもちろんパンも大人気。
今回は、イタリア人のご主人を持ち、定期的にイタリアへ帰省している、倉科起乃さんにイタリアのパン文化「イタリア人とパネッテリア」をレポートいただきます。

イタリア人の主食

みなさんがご存知の通り、パンはイタリア人にとって主食です。
メニューがパスタの時もテーブルには必ずパンがあります。
家庭によっては、リゾットを食す時もパンを一緒に食べる人がいるようです。

私が初めて夫の実家に行って驚いたことの一つは、「パン」の消費量。
家族が5〜6人いれば、直径30cmはあろうかという大きなパンも、買った翌日には完食・・・。
ちなみに、イタリア人は、スーパーはもちろん、町のパン屋さんや、屋外マーケット(メルカート)の出店などでパンを購入しています。

イタリアも日本と同じように、スーパーマーケットが増えたことにより、小さな商店は閉店の一途をたどっています。
そんな中、パネッテリア:Panetteria(イタリア語でベーカリーを意味する)だけは変わらずある一定の店舗数を保っているようです。
でも、パネッテリアが生き残っているのは、消費量の多さだけが理由ではないようです。

お気にいりのパネッテリアが大切

それぞれの家庭が利用するパネッテリアは、たいてい決まっています。
単に、“家から一番近いパネッテリア”や“豊富な種類のパンを販売しているパネッテリア”ということではありません。

行きつけのパネッテリアを決定する一つ目の理由としては、「味」です。
店によって味がそれぞれ違うので、自分または家族の好みの味のパンを作っていることです。
例えば、先日も夫の家族は、行きつけのパネッテリアを変えたそうです。
どうやら、以前通っていたパネッテリアのパン製造担当者が変わってしまったようで、「味が全く違う」というのが理由です。

結局、その後お気に入りのパネッテリアはまだ見つかっていないようですが、色々試した結果、今は某スーパーで週に一度、隣町から来るベーカ リーがパンを販売する日があるので、その日を狙って購入しているそうです。もしくは、他の家庭ではあまり無い光景ですが、自宅でパンを焼いてしまうそうです。

コミュニケーションをとる場所

そして、二つ目の理由は、スタッフとの相性やお店でのコミュニケーション。これは、かなり重要なことのようです。
スタッフが、常連客の好みのパンを把握し、常連客が来るまで別に取っておくというのです。
または、常連が電話を入れると、スタッフがパンを自宅まで届けにいく。こんなやり取りが良くあるそうです。
そして、常連客がパネッテリアに行けば、他の常連客と世間話に花が咲くことも。たちまち、そこは常連客のコミュニケーションスペースになります。

パネッテリアではパン以外にもミルクやヨーグルト、ハムなども販売していることから、特にお年寄りなどは、パンを買いに来るというよりも、パン以外のものを買いに来て、他のお客と井戸端会議して帰るのだとか。
そんな事を気軽にできる、自分のパネッテリアを見つける事は、イタリア人にとってとても重要なことなのです。
このコミュニケーションスペースは、肉屋、魚屋、八百屋などでは生まれなかった特別な空間だったのです。
パネッテリア以外で見てみると、バール(Bar)もその一つ。
バールは日本でいうカフェですが、バールでも色々なコミュニケーションがあふれています。
現にイタリアにスターバックスが無いのは、バール社会を守るためだからです。

イタリア人=Mangiare[食]というイメージ、これは単に「食べることが好き」、という事ではなく、「食」を通じて様々なコミュニケーションをはかり、個人を表現する手段の一つのようです。
人と顔を向き合わせて直接話すというコミュニケーションは、イタリアの文化の一つ。
しかも、そこには必ずパネッテリアのパンの香りや、バールのエスプレッソの存在が不可欠なのです。

更新: 2013年5月22日

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