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✈︎WORLD FOOD PORT. アメリカ発・ワインの妖精たちが住むナパ・ヴァレー

サンフランシスコから北に150キロ。
ゴールデンゲートブリッジを渡り、一路ナパ・ヴァレーへ。
今回は、世界におけるナパワインの普及活動を行っている“ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ”の計らいで、レストラン、ワインバー、ソムリエ、ワイン輸入関係者の方々と共に同行した、村上由さんからナパワインの魅力をお伝えしてもらいます!

ナパの歴史

カリフォルニアの青い空が続くUS101号線を走りながら、未だ見ぬナパの風景と出会いに胸の高鳴りがつづきました。
やがて、「Napa Valley」の標識が見えてくると、車窓の風景もワイン畑に変わっていきました。「すごい!ここがドメインシャンドン」「そして、モンダビ、オーパスワン・・・」ワイン好きの仲間達が、待ちきれない様子で、窓の外に広がるワイナリーの名をあげていきます。

さて、そもそもナパワインについての歴史をひも解きましょう。
ナパワインを表す大きな要素は、自然をリスペクとして、有機的に繋がる人の営みといえます。それは、遡ること1943年。
ワインをこよなく愛す有志達によって始まった、“毎日美味しい料理とワインを楽しみ続けたい。食卓を笑顔で囲むことこそが人を幸せに導く”という基本概念が、“美味しいワインを作り続けたい”という作り手たちの自然な欲求に繋がったのです。

その後、ナパワインのステータスを上げるために、試行錯誤が繰り返され、お互いの持っている知識や技術を学びあい、他国からの助言を受け入れ、独自のワイン作りのノウハウが蓄積されていきました。
その過程で発足したのが、“ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズ”というワイナリー協会。
発足後70年たった今日では、500のワイナリーが加盟し、土地を守りながら、皆で一緒に環境保護に取り組み、お互いを競合と見るのではなく、同じ仲間と考え、お互いの知識を共有しながら切磋琢磨できるメンバーシップを実現しているのです。

ナパでのスタディーカリキュラム

さて、今回我々に用意された、ナパワインのスタディーカリキュラムは、4泊5日。
テロワールの勉強から、ワインメーカーとのランチやディナー、ワークショップまで、無駄なくびっしりと予定されていました。

到着初日は、サン・スペリー・エステート・ヴィンヤーズでのディナー。
「ようこそ、ナパ・ヴァレーに。ナパワインの魅力は、時代の進化や環境の変化を受け入れること。多様性への寛容性こそが、ナパのスタイルなのです」と話すのは、「サン・スペリー・エステート」の当主、ロベール・スカリー氏。
ロベール氏の挨拶に続き、この4日間で出会うワインメーカーがそれぞれ自慢のワインを紹介していただきながらのディナーでした。

次の日は朝から、ナパ・ヴァレーの概要、栽培の拘りについて学び、テロワールツアーに出発。
ナパの多様性のある気候が象徴的に体験出来るスプリングマウンテンをジープに揺られて山を登っていくと、未だ霧が濃く、空気が冷たく湿っていました。
これがまさにナパ・ヴァレーのワイナリーの特長とも言える気候なのです。

ウィンドブレーカーをしっかりと着込んでいても肌寒い山の上で、未だ霧が残るぶどう畑の土の香りと共に、カベルネ・ソーヴィニヨンを試飲。
ナパのカベルネの中でも特にしっかりとした重厚感のあるカベルネの味に、眠っていた身体の細胞が少しずつ目覚めていくことを肌で体感したひとときでした。

ホストは、「スプリング.マンテン・ヴィンヤード」の作り手チャールズ・トーマス氏。
小さな葉がつきはじめたカベルネ種のぶどうの木の枝を見せていただきながら、持続可能なオーガニック農法についてレクチャーを受けました。

「害虫駆除の除草剤などは一切使いません。害虫は、飼い離している青い鳥、へび、ワイルドキャットや土の中に住むモグラが駆除してくれます。春の草刈りは全て手作業。こうして余計な葉をつまんでいきます。手間を惜しまず、やり続けることこそが大切なのです」

ぶどうの木に虫がつかないように植えられた花々や、ワイン畑の上を飛ぶ鳥の姿を見ていると、あらゆる生命と共存することの重要性を感じずにはいられません。
ナパ・ヴァレーにおいては、徹底したバイオコントロールが実現しているのです。

その後も充実のスケジュール。カベルネ、ソーヴィニヨンブラン、メルローを飲み比べ、テロワールによっての多様性を学び、3世代に作り手の当主の親子との出会いから、ヴィンテージの違いを体験。
南から北にゆっくりと走るワイントレインでは、車窓に連なるワイナリーを横目にワインと料理を堪能。
グループワークに分かれ、オリジナルのブレンディングワインを作るといった好機にも恵まれました。なんと4日間で訪れたワイナリーは、12軒。

私たちがこの旅で学んだのは、ナパの気候やワインの魅力も去ることながら、人と人、ワイナリーと人、地域と地域、世代から世代へと有機的に繋がるナパのネイバー&ネイチャーフレンドリーな思想でした。

「ワインとは、輪飲と書いて、ワイン。人と人の輪を繋げる素晴らしいもの」とは、共に旅した仲間の言葉。
今回の旅は、私の人生の中において、かけがえの無い宝物を拾ったといえる程の大きな体験だったことは間違いありません。

更新: 2014年6月25日

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