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第41回 キムラカズヒロさん
食を通じて様々な課題を解決する“フードアレンジャー”

出張料理、ケータリングを中心に企業のパーティやイベント等で多くの食べ手を魅了するキムラカズヒロさん。その傍らでは、地方の食材をレシピ開発を通じて飲食店や消費者に紹介したり、2016年7月にベトナムでオープンした日本の食文化を紹介するカフェ「agata cafe japan」の料理監修、さらに11月オープン予定のヴィーガンカフェをプロデュースするなど、料理人に止まらない活躍ぶり。食を通じて、地方と都市、人と人をつなげ、場を作り、情報発信を行うその姿から、自らを「フードアレンジャー」と語ります。

アイデア勝負な“フードアレンジャー”とは?

「音楽で言うところの編曲家=アレンジャーは、メロディーに和音やリズムを加えて、ひとつの曲に仕上げます。それと同じように、食材、お店、地方、人、食にまつわる様々な要素を繋ぎ合わせて、アレンジして、何かの課題を解決する。それはずっと私が得意としてきたことですし、厨房にこもって料理を作る料理人ではない今の自分に良い肩書はないかなと、思いついた言葉です」と、“フードアレンジャー”の由来を教えていただきました。
キムラさんの経歴を遡ると、大阪、フィレンツェ、東京で、軸となるイタリア料理を中心に、焼鳥、鉄板焼き、フレンチに中国料理、小さなお店から200人規模の大型店まで経験。専門学校の講師も2年間務め、なんともバラエティ豊か。その経験によって培われたのが、引出しの多さ、豊富で柔軟なアイデアが、キムラさんの武器になっています。

埋もれた食材を救済し、美味しい料理に変身! “サルベージ”という考え方

そんなキムラカズヒロさんですが、2016年4月1日に初めての著書となる『サルベージ・パーティから生まれた「使い切る」ための4つのアイデアと50のレシピ』(誠文堂新光社)を出版しました。冷蔵庫で眠っている食材を救い出し(=サルベージ)、素敵な料理に変えるコツが満載! 食べごろギリギリの野菜、お土産でもらった調味料、買いすぎた加工品など、持て余してしまっている食材を参加者が持ち寄り、みんなで美味しい料理に変身させるフードイベント「サルベージ・パーティ」で実際に披露されたレシピが掲載されています。全国各地で開催され、協力しているシェフは他にもいますが、キムラさんは中でも中心的な存在なのです。

今まではアンチ・レシピ派だったんです。料理はその時の気分や自分の中での流行りで変わっていくモノで、レシピという形にしてとどめるのは、飽きっぽい性格に合わなくて。でもこの本を通じで伝えたかったのは、持て余しがちな食材を楽しく料理し、美味しく食べるための“考え方”。レシピは1つの例でしかないので、書かれているレシピにこだわらず、自由にアレンジしてほしいですね。レシピに書かれている食材をわざわざ買いに走るのでは、“サルベージ・パーティ”の主旨と反しますから(笑)」

実家から送られてきたそうめんやモモの缶詰、高野豆腐に蒲鉾、ブルーチーズ…。参加者によってパーティに持ち込まれる食材は多種多様。それを瞬時に使いみちを見極め、ファシリテーターとして、最終的なメニューを導くのがキムラさんの役目。「今まで様々なジャンルの料理に携わってきた経験がとても役に立っていますね。余った食材で作るまかないや、イタリアンのレストランで日替わりパスタを作る感覚に似ています」とのこと。

そこで得た食材をサルベージするノウハウを4つのポイントにまとめ、具体例としてレシピに落とし込んだのが著書である『サルベージ・パーティから生まれた「使い切る」ための4つのアイデアと50のレシピ』。そのポイントとは、①食材の形を変えてみる。②味の固定観念を捨ててみる。③加工食品を味付けに使ってみる。④組み合わせの妙を愉しんでみる。

「例えば、そうめん。きっと“そうめん=和食”“茹でて麺つゆで食べないといけない”という固定概念があると思うんです。でも、パスタ代わりに使うのはもちろんのこと、細かく砕いてお米替わりにリゾットにしてみたり…。ひとつの食材と別の視点から見ると、違う食材に見えてくる。そうすることによって、作る楽しさも生まれますし、一緒に食べる人に出したときに驚いてもらえる。食べることを楽しくするアイデアが詰まった1冊だと思います」

今回は著書の中から、2つのレシピをご紹介。1つは、前述のそうめんで作るリゾットで、きっと今のシーズンに活躍すること間違いありません。2つめは、モモの缶詰を使った前菜。実家から送られてきがちな食材が、見事なパーティメニューに様変わり。この夏の集まりに、ぜひ作ってみてください! きっと、料理の新しい楽しみ方が見つけられるはずです。

そうめんのチーズリゾット

そうめんがやわらかいだけに、玉ねぎの食感が存在感あり。そうめん自体に塩味があるので、塩を使わないのがポイント。すっきりした白ワインやスパークリングに合わせたい1品。

<材料>2人分
・そうめん 200g
・玉ねぎ 1/2個
・パルミジャーノ レッジャーノ 20g
・生クリーム 200cc
・黒こしょう 適量
・オリーブオイル 大さじ2

<RECIPE>
①玉ねぎをみじん切りし、パルミジャーノ レッジャーノはあらかじめすりおろしておく。そうめんは手でひねるようにして5mmくらいに砕く。(写真中)

②フライパンでオリーブオイルを熱し、玉ねぎを炒め、透き通ってきたら生クリームとパルミジャーノ レッジャーノ15g分を加えて煮詰める。

③「②」にそうめんを加え、30秒ほど煮て火を通し(写真下)、皿にもって黒こしょうと残りのパルミジャーノ レッジャーノを飾る。

白桃の缶詰とブルーチーズの前菜

桃をソテーすることで甘さに苦みが加わり、濃厚なブルーチーズのソースとマッチ。フレッシュなセロリの食感と、パセリの苦みがアクセントに。そのまま食べるだけでは味気ない桃缶が素敵な前菜に。

<材料>2人分
白桃の缶詰 1缶(350g)
セロリ 1本
ブルーチーズ 30g
生クリーム 30cc
ミックスナッツ 大さじ1
イタリアンパセリ 少々
無塩バター 5g
粗挽き黒こしょう 少々

<RECIPE>

①白桃はシロップから取り出し、キッチンペーパーで汁気を抑えて、くし切りにする。セロリは筋を取り、斜め1cm幅に切る。

②フライパンでバターを温め、白桃の全面を焼き色がつくまでソテーする。(写真中)

③別のフライパンにブルーチーズと生クリームを入れて火をかけ、とろりとするまで煮詰める。(写真下)

④皿に白桃、セロリを盛り付け、「③」のソースを上からかけてミックスナッツ、イタリアンパセリ、黒こしょうを飾る。

キムラカズヒロ

キムラカズヒロ

1981年生まれ。 兵庫県明石市出身。 フードアレンジャー(food arranger)。19歳から料理人としてのキャリアスタート。大阪、フィレンツェ、東京で腕を磨き、専門学校の調理講師を経て独立。 出張料理、ケータリングをメインに、レシピ開発、フードコンサル、プロデュース業など様々な事業を展開。また、地域活性への強い想いから、地方生産者の訪問を重ね、商品開発や販路開拓及びマーケティングやプロモーションのサポートも積極的に行う。 食材廃棄を減らす取り組み「サルベージ・パーティ」にも関わり、サルベージ・シェフとしての顔も持つ。

キムラカズヒロさんのWEBサイト
著書『サルベージ・パーティから生まれた「使い切る」ための4つのアイデアと50のレシピ: 余った食材、おいしく変身。』

更新: 2016年7月27日

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