【番外編】シェフの必需品|「and CURRY」阿部由希奈 ~後編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。番外編でお送りしている前回は『and CURRY』の阿部由希奈さんのカレーを作ろうと思ったきっかけや、料理のインスピレーションなどについてうかがいました。そして、今回お聞きしたのは阿部さんにとっての“必需品”について。早速ご紹介していきます。

「フェヌグリーク」

自宅には40種類前後のスパイスが常備されており、2~3種類使用するときもあれば多いときで10種類のスパイスを使用することもあると言う阿部さん。一番“カレーらしさ”を感じるスパイスが「フェヌグリーク」だそうで、男らしさや力強さの風味を料理にプラスしたいときに使用するのだと語ります。

「一番好きなスパイスって何ですかと聞かれたら、迷わずフェヌグリークと答えます!一番カレーの香りがするんです。スパイス辞典とかをみると、クミンはセリ科でエジプト産で...と書かれているのですが、わたしは自分の感じたままでイメージをしてます。クミンはしそっぽいイメージがあるので和食材とのつなぎ役にしたり、フェヌグリークは力強い風味がでるイメージなので優しい味のカレーというよりかは、男の料理!という感じのカレーを作りたいときに入れるようにしています。」

すり鉢&すりこぎ棒

こちらはインドで購入したという「すり鉢&すりこぎ棒」。インドではステンレスが流行っているそうなのですが、石のものを探しまわってやっと手にすることができたのだとか。

「基本的にはスパイスをすりつぶしたりするのに使っています。結構力はいりますね(笑)。例えば、卵のアチャールで使うフェヌグリークは、電動のミルだと粉感がでたり、一回炒っているので摩擦で熱が出てしまってその分香りが飛んでしまうんですよ。なので、地道な作業ですがパウダーになりすぎない良い感じの粒感と香りを出すためにはこれが欠かせません。」

「カレーの教科書」

最後は水野仁輔さん著の本「カレーの教科書」。いつも寝る直前まで読みこみ、この本と一緒に寝落ちすることすらある、と熱心に語ります。

「これは本当にすごい。タイトル通り、教科書です。この本をみて勉強しているので、めちゃくちゃ線とか引いてます(笑)。著者の水野さんが、“東京スパイス番長”という4人組を組んでいて、その東京スパイス番長のスパイスカレーのレシピ本があるんです。それを最初に買って、端から端まで載っているカレー全部作りました。それでなんとなく、何を入れたらこういうカレーになる、という型は体で覚えました。そのあと『カレーの教科書』を読むと、だからこうなのか、という理論が分かります。最近は、カレーのレシピ本を読むというよりかは、作ったりとか、カレーではない別のレシピ本とか読んだりしますね。アジア料理とか、和食とか。組み合わせや調理法など、カレーに取り入れられそうなものはチェックしています。今カレーのレシピ本を見ちゃうと知らぬ間に真似しちゃいそうでこわいんです、あの時のあれだ!って。」

以上3つが「and CURRY」阿部さんの必需品。

今後の展望としては、子供向けのワークショップを近いうちに開催して、カレーは本当は自由なんだというところから料理すること、食べることの楽しさを伝えていきたいとのこと。

「私自身幼少期の頃かぎっ子だったので、母が用意したものを淡々と妹と2人で食べていて、家族揃って食べる機会が少なかったんです。そういう子って今でも絶対いて。でもそういう子たちにも食べる楽しさを知ってほしいんです。ある日、知り合いのお子さんが、みんなが集まっている場所でゲームをしていて、子供ってゲーム好きですねという話をしたら『すぐ結果が出るからよ』と言われたんですよ。それを聞いたときに、料理も同じだと思いました。料理って作っておいしい・おいしくないとか、これは合う・これは合わないとか、すぐ結果が出るじゃないですか。ゲームだと生死に直結はしませんが、食べることは生死に関わります。自分の体をつくることなので、そっちに興味をもって時間を使った方が、良い世の中になりそうだなって。」

カレー好きな人に向けてだけでなく、幅広い世代にカレーを通じてメッセージを送る阿部さんの今後に期待です!

更新: 2017年10月10日

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