【番外編】シェフの必需品|「and CURRY」阿部由希奈 ~前編~

東京のグルメシーンを索引するシェフにとって、料理を作る上で欠かせない道具や食材をご紹介していただくコーナー「シェフの必需品」。10人目のシェフは「and CURRY」の阿部由希奈さんです。阿部さんは自分自身のお店は持たずに、“流しのカレー屋さん”として活躍されています。そんな阿部さんは、どのような料理人なのでしょうか?必需品をうかがう前に、彼女の料理に対する想いや、カレーを作り始めたきっかけ等について、お話をしていただきました。

阿部さんが自分でカレーを作ろうと思ったのは、女子向けのカレー屋さんを紹介するFacebookページをスタートしたことがきっかけなのだとか。

「元々は会社で人事や広報の仕事をしていて、かなり忙しく働いていました。でも、自分のプライベートの時間を作りたくて、ゆっくりと働こうと思ってペースを落として働いていたのですが、そしたら逆になにかしたくなってきてしまって(笑)。面白いことをやりたいねと友人と話していたときに、最近カレーばかり食べているという話になったんですよ。そこで、そんなにカレー好きならカレーのメディアをやろうとなって。最初facebookページで女子向けのカレー屋さんを紹介していました。そしたらなんだか自分でも作りたくなってきて、家で時々作っていたんです。そのFacebookページを、わたしの行きつけの立ち飲みのたこ焼き屋さんが見てくださって、『そんなに好きだったらうちのお店でカレー出したら?』と言ってくださって。その時はまだサラリーマンだったので、月に1回カレーを出すというのを決めて、毎月違うメニューでやっていたのがはじまりです。これが2年前の8月のことですね」。

たこ焼き屋「天風」で提供された淡路島産新玉ねぎが主役のビーフカレー

初期は知り合いや通りかかったお客さんが来ていたそうで、その後インドツアーに参加したことをきっかけに、よりカレーにはまっていたと語ります。

「最初は10~15食くらいからはじめて、数をどんどん増やしていく形で提供していました。年内までは細々とやっていて、その後年明けにカレーの研究をするインドツアーに参加したんです。デリーからチェンナイへ向かい、そのまま南をぐるっと回りました。東銀座にある『ナイルレストラン』の3代目のナイル善己さんという方がいらっしゃるのですが、その方が主催するカレーツアーでした。初めてインドに行くのはこわくて抵抗があったんですけど、ナイル善己さんが連れて行ってくれるのなら間違いないだろうと思って参加しました。そこでますますカレーの魅力に引き込まれていって、もっと日本にしかない変わったカレーを作りたいなと思ったんです」。

この頃から、Instagramで影響力のある方などが来店し始め、行列ができるようになっていきました。

その後、渋谷にある常連たこ焼き屋「天風」だけでなく、幡ヶ谷にある「CURRY&SPICE 青い鳥」や飯田橋の「CURRY&SPICE BAR 咖喱人」、下北沢の「カレーの惑星」、市ヶ谷にあるチリビーンズショップ「Chili Parlor 9」など様々なお店とコラボしてきた阿部さん。彼女のカレーに対する熱い想いに、お店側がコラボしたくなる気持ちは納得です。

そんな阿部さんが作るカレーのインスピレーションはどこからきているのでしょう。

「基本は自分が食べたいものから考えています。例えば、この前だとスイカのカレーを作りました(笑)。私がものすごくスイカが好きなので、好きなものから連想して、それをカレーにしたらどうなるんだろうというところから考えることが多いですね。盛り付けに関しては、色合いは考えます。間借りでやっているときも、おかずをいくつか出していたんですけど、全部茶色くなってしまうと美しくないじゃないですか。お皿とかもぜんぜん凝れないので、食材の色で彩るしかなくて。このお皿の上でできる最大限のことをやろうという気持ちでやっていました」。

多くのお店でカレー作りをしているからこそ、今までにない刺激を受け、その刺激が盛り付け等に表れているのかもしれません。

さて、そんな阿部さんの必需品はというと。スパイスの「フェヌグリーク」と「すり鉢&すりこぎ棒」、水野仁輔さん著の本「カレーの教科書」の3つ。それぞれの魅力を次回たっぷりとご紹介いたします!

更新: 2017年10月3日

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